一つ物神事の幼子 先に述べたようにイナリ神社は、「ユダヤ人の王、ナザレのイエス」神社であった。同様にヤハタ神社は、もともと、幼児となってこの世に来たイエスを祀る神社であった。そのことは曽根天満宮(兵庫県高砂市)の「一つ物神事」にも見ることができる。 「一つ物神事」は、今は曽根天満宮において最も盛大に行われている祭だが、昔は各地のヤハタ神社や、秦氏系統の神社で広く行われていた。それはもともと秦氏の祭だった。 一つ物とは、ひとつしかない大切なものの意味である。イエスも「神のひとり子」と呼ばれる一つ物であった。「一つ物神事」の主人公は、幼子である。その幼子は、まさに幼子イエスを思わせる姿で登場する。 祭において幼子のまわりには、「中近東風のかぶり物」をした青年たちが付き添っている。どう見ても日本人の服装ではない。朝鮮の服装でもない。 そのうしろには、幼子の両親たちも付き添っている。「中近東風のかぶり物」をした青年たちは、『聖書』でいえば羊飼いたちである。また付き添う両親は、さながらイエスの両親ヨセフとマリアだ。 幼子の額には「八」の字が書かれている。 「八」は「はち」ではなく、「ヤー」と読む。「はち」は中国語起源のいい方で、日本古来の大和言葉では「ヤー」である。ヤーは、神の御名ヤハウェの短縮形だ。「ハレル・ヤー」(ヤーをほめよ)の「ヤー」でもある。 『聖書』によれば、イエスは神ヤー(ヤハウェ)の御名によって来た。メシア到来を予言した『旧約聖書』「詩篇」118篇に、こう記されている 「ヤハウェの御名によって来る人に祝福があるように」(第26節) イエスは、ヤハウェ神の御名によって来たメシアである。 幼子が登場するとき、中近東風のかぶり物をした青年たちは、「ヨイヨイベー」と何度も叫ぶ。その意味を宮司に聞いてみたが、「わかりません」との答えだった。文献にもない。単に伝統だという。 しかし、一つ物神事を研究した手束正昭牧師によれば、このかけ声「ヨイヨイベー」は、もともとヘブル語の「ヨム・ヨーベール」=ヨベルの日だろうという。ヨベルの日とは「恵みの年」のことである。 イエスは自身の登場によって、大いなるヨベルの年が開始されたと宣言した。 「イエスは……会堂にはいり、朗読しようとして立たれた。… 『主はわたしを遣わされた。…しいたげられている人々を自由にし、主の恵みの年(ヨベル)を告げ知らせるために』(「イザヤ書」)…… イエスは人々にこう言って話し始められた。 『きょう、聖書のこのみことばが、あなたがたが聞いたとおり実現しました』」(「ルカの福音書」第4章16~22節) イエスの登場によって、大いなる「ヤハウェの恵みの年」が開始されたのである。 このように一つ物神事の主人公は、幼子イエスである。一つ物神事は、一種のキリスト降誕祭といっていい。それは各地のヤハタ神社はじめ、秦氏の神社でもともと広く行われていた祭だった。 一つ物神事の幼子は、ヤハタ神=ユダヤの神イエスを表している。イナリ神社も、ヤハタ神社も、このようにイエス・キリスト神社である。
2024年5月14日火曜日
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