2025年1月19日日曜日

国内最古、火を使った採掘跡か 弥生時代の徳島に「世界基準」の技術 [徳島県]:朝日新聞デジタル 2025/01/19

国内最古、火を使った採掘跡か 弥生時代の徳島に「世界基準」の技術 [徳島県]:朝日新聞デジタル

国内最古、火を使った採掘跡か 弥生時代の徳島に「世界基準」の技術

写真・図版
辰砂の採掘跡とみられるくぼみを指し示す阿南市の担当者=2025年1月19日午前10時35分、徳島県阿南市水井町、相江智也撮影

 朱の原料となる鉱物「辰砂(しんしゃ)」の採掘跡、若杉山辰砂採掘遺跡(国史跡、徳島県阿南市)で、弥生時代後期(1~3世紀)に火を利用して採掘したとみられる国内最古の痕跡が見つかった。市が19日発表した。古代ローマや中国・漢にあった「火入れ法」と呼ばれる技術で、専門家は「当時の世界基準の採掘技術が導入されていた可能性がある」と指摘する。

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 火入れ法は、硬い岩盤の表面をまきなどを燃やして熱し、もろくしてから採掘する方法。国内では、これまで江戸時代初期の山形県の延沢(のべさわ)銀山遺跡が最古とされていた。若杉山辰砂採掘遺跡で使われたとすれば1400年以上さかのぼる。

 市文化振興課によると、昨年度からの発掘調査で、チャート(堆積岩)の岩盤から幅約40センチ、深さ約50センチのくぼみを発見。鉱脈に沿って人為的に掘られ、壁面に黒いすすが残ることから、火入れ法による採掘の跡の可能性が高いと判断した。

 古代ローマでは金の採掘、中国・漢では辰砂の採掘に同様の技術を使ったとの文献が残るといい、徳島文理大学の大久保徹也教授(考古学)は「弥生時代の日本に世界基準の採掘技術が持ち込まれたことは重要だ。中国から最新技術が九州や瀬戸内海を経て、四国にまで導入されていた可能性がある」と話す。

 朱は権力の象徴とされ、古代には死者の顔や棺(ひつぎ)、古墳の石室などに塗られた。3世紀の中国の歴史書「魏志倭人伝(ぎしわじんでん)」には、倭(日本列島)の山では丹(辰砂)が採れ、女王卑弥呼が中国王朝に丹を献上した、との記述もある。

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 若杉山辰砂採掘遺跡は、1~3世紀にかけての辰砂の採掘跡として、全国で唯一、明確な遺構が確認されている。1984年以降の調査で辰砂の原石や加工用の石器、坑道跡などが見つかり、2019年に国史跡に指定された。

 阿南市は2月1日午後1時から、同市羽ノ浦町の市情報文化センター・コスモホールで報告会を開く。問い合わせは市文化振興課(0884・22・1798)。

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