2025年1月25日土曜日

風雲児たち 9巻 (SPコミックス) | みなもと太郎 | 青年マンガ | Kindleストア | Amazon

  • 2006年5月7日に日本でレビュー済み
     前巻ではお休みだった大黒屋光太夫一行は厳しいカムチャツカの寒さに次々に仲間を失いながらも雪解けと共にユーラシア大陸を目指す。将軍家治死去と共に田沼意次失脚、松平定信が大老に就任する。定信の田沼憎しは想像を絶するもので、領地没収はむろんのこと、埋立地の破壊にまで至るすさまじさ。そして、近年まで支配的だった田沼悪政の歴史観を決定的にするのであった。

     蝦夷探検隊達は沈黙を余儀なくされ、宿願の印旛沼干拓も中止、時代の歯車は大きく逆回転を始める。「寛政の改革」が始まったのである(ちなみにフランス革命勃発の年でもある)。教科書に描かれた歴史とは全く違う展開にうなり、ふつふつと沸きあがる海外事情が幕末への大いなる助走へとなっていく。
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  • 山田晃嗣
    2007年11月4日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    「風雲児たち」を最初に読んだのは20年ほど前のことだが、
    当時最も私にとって衝撃的だったのが
    田沼意次の功績面に大幅にスポットを当てた歴史解釈だった。

    小学生の頃に読んだ子供向け歴史漫画では、
    「賄賂が全ての汚職政治化」として描かれていたことを明確に覚えているし、
    (しっかりとした記憶は残っていないが)高校の日本史でも
    そのイメージを覆すような記述はなかったはずだ。
    ところがこの「風雲児たち」では、田沼は庶民の味方で
    先見性も実行力もあるスーパーな政治家として描かれている。
    そのギャップに大いに驚いたものだ。

    この第9巻では、ついにその田沼も汚い謀略に落ちて失脚してしまう。
    その謀略を首謀したのが、「寛政の改革」の実行者として
    ポジティブなイメージで捉えられる松平定信だ。
    この謀略の仮定が克明に描かれているわけであるが、
    松平一派の陰謀は、田沼を失脚させるだけにとどまらず、
    ありとあらゆる「悪名」を田沼に被せるところまで徹底している。

    この江戸時代の「政治的陰謀」のために、
    昭和の時代に教えられる歴史にいたるまで
    田沼意次には「悪徳」の名前がついて回ったわけだ。
    これに異を唱えただけでもこの本の価値は高い。

    待てよ、この本はギャグ漫画なんだぞ。
    真面目な歴史解釈がスゴすぎて、印象に残るギャグが少ないのが残念。
    9人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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  • 嘉右衛門
    2003年1月6日に日本でレビュー済み
     最上徳内、大黒屋光太夫、林子平らが繰り広げるメインドラマは、南下圧力を増しつつあるロシアがらみ。探険あり、サバイバルあり……この大河マンガに期待される群像劇にどっぷりとハマることができる。
     そして、江戸政界の中心的存在として描かれてきた田沼意次の周囲にも不穏な動きが巻き起こる。まさに、クライマックスたる幕末への胎動は始まっているのだ。今後の展開に、ますます期待が持てるというもの。鬱屈たまった庶民による「天明の打ちこわし」の裏側も、実に興味深く読めた。
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  • osarusan
    2013年12月28日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    潮出版のコミックスで全巻持ってます。
    紙が黄色を通り越して茶色くなってきたので電子版に切り替えようと思い
    購入しましたが、今どき縦のピクセルが1024ドットとはいかがなものでしょうか。
    キャラクターの顔も活字にも明らかにがたつきが見えます。
    マンガを売るならせめて縦は1280、できれば1600くらいで提供していただきたいものです。
    7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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  • dsuke
    2020年9月23日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    田沼の命を受けた蝦夷地調査団の最上徳内は、エトロフ島の最北端でロシア人・イジュヨとアイヌ人サスノコイと会談し、蝦夷地のロシアやアイヌの歴史、地理、習慣などを聞く。そして、さらに北方への調査へ出発する。

    江戸では、大洪水が発生し印旛沼の開拓工事は完成間近で決壊する。将軍・家治が病死するも一橋家を筆頭とする御三家・御三卿はその死を秘匿し、将軍の書状を偽造、老中・田沼意次を解任する。田沼は失脚して、田沼派も一掃され、政治は松平定信ら御三家・御三卿、譜代大名が実権を握る。

    田沼の進めていた印旛沼の開拓、蝦夷地の開拓は中止。幕府は、田沼はの掃討を優先し、大飢饉による米価高騰に苦しむ庶民にたいしては、何の手も打たない。

    最上徳内は、蝦夷地調査は中止に追い込まれたものの、調査資料を青島俊蔵とともにまとめる。失脚した田沼の意向である蝦夷調査の資料が完成すると、徳内はだれに頼まれるでもなく再び蝦夷地の調査へ出発する。田沼失脚を知る松前藩は、徳内に蝦夷地調査をされてはたまらないと追い返す。徳内は、頭を剃り寺社の丁稚として働きながら、松前藩にとどまり情報収集するも、再び発覚して強制送還される。

    松前藩の南部の野辺地で釈放された徳内は、その地にとどまり日雇いで働く。親方に見初められると、訳をはなし学者として住まわせてもらい、来客の対応などをする。しかも、こまめに働き、親方に重宝がられる。

    田沼の失脚により蝦夷地調査は中止に追い込まれるも風雲児たる最上徳内は、どこまでも突き進んでいく。一方、幕府の政治は時代に逆行し、蘭学の研究を止め、庶民への禁令をつよめていく。

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