2021年2月3日に日本でレビュー済み
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北宋の政治家王安石の人となりと改革とに焦点を当てた論文であり、本文わずか150ページによくまとめられている。当時支那は近世独裁政治に移行し、ようやくその弊害が蔓延し内憂外患に直面していた。王安石はこの閉塞を打破すべく時代に先駆けた経済政策で社会に活力を取り戻そうとしたが、その改革は死後反対派に尽く葬られ、奸臣の汚名を受ける。
本書には今日までつづく支那社会の病を見ることができる。官吏と商人の癒着、汚職蓄財、人間関係が親分子分の関係で律せられること、党派争いの陰険さ、敵は死者になっても永遠に鞭打つこと。既得権集団と結託して抵抗しかしない政治家官僚は吾人も他人事ではない。このような連中と二十年闘いつづけた孤高の人物に興味が湧かぬ者はおるまい。
巻末には参考文献として多くの資料が列挙されている。主要なものにはその偏向を指摘し、読む際の注意が記されていて、著者の研究姿勢に好感が持てる。その一方で、一度レッテルを貼られるとその人物を否定することが自分の正当性の証しとなる人の世に慄然とする。王安石が千年に一人の逸材であっただけに、借しみてもなお余りある。
本書には今日までつづく支那社会の病を見ることができる。官吏と商人の癒着、汚職蓄財、人間関係が親分子分の関係で律せられること、党派争いの陰険さ、敵は死者になっても永遠に鞭打つこと。既得権集団と結託して抵抗しかしない政治家官僚は吾人も他人事ではない。このような連中と二十年闘いつづけた孤高の人物に興味が湧かぬ者はおるまい。
巻末には参考文献として多くの資料が列挙されている。主要なものにはその偏向を指摘し、読む際の注意が記されていて、著者の研究姿勢に好感が持てる。その一方で、一度レッテルを貼られるとその人物を否定することが自分の正当性の証しとなる人の世に慄然とする。王安石が千年に一人の逸材であっただけに、借しみてもなお余りある。
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