妙楽寺:木造千手観音菩薩立像
養老3年(719)、僧行基が若狭巡歴のとき、この山に登り、千手千眼の霊像を刻んで岩窟に安置したと伝え、つい先年までは厳重な秘仏で、33年目毎の開扉供養の行なわれるまでは拝めなかった。
高さ176.3㎝、正面の本面のほかに両側に大ぶりの脇面をもち、頭上面を合せると、廿四面の千手像として、世に珍らしい実例の一つである。
像は等身の姿を、桧材の一木で造り、裳裾を高くかかげた着衣の制、台座や光背なども、もっぱら古式による古風な造像であるが、体姿は総じてつつましく、相好も優しく、彫り口もおだやかなあたりをみれば、平安時代も半ばごろ、10~11世紀の制作であろう。
このように両脇面をもつ千手観音を、ふつう三面千手と呼び、その古例は9世紀以降間々見出されるが、本像のように、廿四面の形を伝えるものは少ない。
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