神道・天皇・大嘗祭シントウテンノウダイジョウサイ
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【書誌情報利用可】
四六判
縦194mm 横135mm 厚さ40mm
重さ 650g
510ページ
上製
定価 6,500円+税
- ISBN
- 出版社在庫情報
- 不明
- 初版年月日
- 2024年7月31日
- 書店発売日
- 2024年7月31日
- 登録日
- 2023年9月21日
- 最終更新日
- 2024年5月31日
紹介
神々と天皇、国家と宗教が絡み合う異形の姿。
空前のスケールで歴史の深みへと導く渾身の大作。
大嘗祭は天皇の皇位継承のため一世一度行われる皇室行事である。神秘性を帯びたその儀式は古代から変化せず、天皇の神性と日本の伝統を示すものとされてきた。しかし、実際は何度も大きな変化をこうむり、数百年間の中断さえあった。この儀式が意味するものは何なのか。そして天皇、神道とは…。本書では、『古事記』『日本書紀』、アマテラス、陰陽道、中世神話、異端神道、平田篤胤、折口信夫など、著者のこれまでの研究のすべてを動員し、学問分野を積極的に越境しつつ、大嘗祭の起源から現代までと、それを巡る論争と思想を描き出す。圧倒の1200枚、ここに誕生。
◎目次
はじめに――なぜ本書は書かれたのか
序章 神道・大嘗祭をアップデートする
第Ⅰ部 平成篇
第一章 平成二年、大嘗祭の現場へ
第二章 「お告げ文」の深層へ
コラム1 「剣璽等承継の儀」に秘められていること
第Ⅱ部 古代篇
第一章 大嘗祭の起源神話とは
第二章 律令国家の構造と大嘗祭
第三章 祟りなすアマテラス
第四章 「神宮の祟りは定事なり」
第五章 もうひとつの伊勢神宮起源譚
第六章 平安王朝のアマテラス
第七章 「神道」の成立と苦しむ神
コラム2 『古事記』をどう読むか
第Ⅲ部 中世篇
第一章 伊勢神宮と中世神道
第二章 中世のアマテラスは何を語ったのか
第三章 戦乱のなかの伊勢神宮
第四章 「神道」のニュー・ウェーブ、吉田兼倶
第五章 中世天皇と即位灌頂
コラム3 「伯家神道」という謎
第Ⅳ部 近世篇
第一章 復興した大嘗祭と垂加神道
第二章 光格天皇と本居宣長
第三章 近世の伊勢神宮と神道
第四章 平田篤胤、驚異の神道
コラム4 水戸学派の大嘗祭
第Ⅴ部 近代篇
第一章 維新変革のなかの大嘗祭
第二章 大正デモクラシーと大嘗祭
第三章 昭和三年の大嘗祭と折口信夫
第四章 近代異端神道の世界
第五章 「われ、神にあらず」――戦後天皇と神道の行方
あとがき――自己の研究史を振り返りつつ
目次
はじめに――なぜ本書は書かれたのか
序章 神道・大嘗祭をアップデートする
戦後二度目の大嘗祭から 大嘗祭は「神道」の行事?
1 「神道」研究の最前線へ
ふたつの「神道」評価 『古事記』は神道の聖典なのか 「神道」のあらたな視界
「中世神道」の研究を起点に 「神話」概念を拡大する 近代における「神道」
2 大嘗祭研究=古層論を超えて
近代が生み出した天皇即位儀礼 大嘗祭は民俗祭祀なのか
「皇室伝統の奥深さ、意義深さ」という言説 神道・天皇・大嘗祭の知の探索
第Ⅰ部 平成篇
第一章 平成二年、大嘗祭の現場へ
悠紀殿・主基殿のなかで行われたこと 「寝座」の役割とはなにか
折口大嘗祭論に対する岡田莊司の批判 折口説批判の深層にあるもの
「大嘗祭に於ける神と人との境は、間一髪を容れない」
戦後天皇制と大嘗祭とのかかわり 「祈り」の天皇とソフト・スピリチュアリズム
第二章 「お告げ文」の深層へ
スクープされた「お告げ文」 「身に於いて犯すべき災を除き……」
「所所名を注るし厭祭らば……」とは何か 後鳥羽上皇が記した『大嘗会神饌秘記』
「名を記し厭ひ祭らば、皆盡銷滅るのみ」の解釈をめぐって 天皇呪詛事件
後鳥羽上皇の「御告文」の背景 後鳥羽上皇と熊野参詣
コラム1 「剣璽等承継の儀」に秘められていること
第Ⅱ部 古代篇
第一章 大嘗祭の起源神話とは
天孫降臨神話が大嘗祭の起源? 『記』『紀』の「解釈」から作られる神話
「斎庭の穂」の神勅は「一書」に載る 陰陽説にもとづく『日本書紀』の神話
「本書」と「一書」の関係をどう見るか 『日本書紀』から見えてくる大嘗祭の深層
第二章 律令国家の構造と大嘗祭
壬申の乱から天武即位へ 新嘗と大嘗祭との関係をどう考えるか
服属儀礼説批判の背景 大嘗祭の準備過程――「造酒児」とは
「内廷的組織」のメンバーたち 「陪膳の采女」の役割とは
なぜ内廷組織が重要なのか 古代史研究のなかの内廷・外廷
第三章 祟りなすアマテラス
ふたつの誕生譚 戦う女神から皇祖神へ アマテラスはなぜ伊勢で祭られるのか
「巽の方の大神の祟り」とは 「祟り」とはなにか
第四章 「神宮の祟りは定事なり」
「御体御卜」という宮中行事 宮主が占う祟りとは 「神宮の祟りは、定事なり」
「御体御卜」を行なう理由 神と向き合うことの危険性を回避するシステム
地方神と天皇との関係は 祭祀作法に失敗する崇神天皇
「祭祀権の二重構造」が意味すること
第五章 もうひとつの伊勢神宮起源譚
『皇大神宮儀式帳』という資料 仏教への忌避と祓えの作法
河原の大祓の現場で 「天照らし坐す大神の神教へ」 「伊勢神道」の基底へ
第六章 平安王朝のアマテラス
「伊勢大神之身分」の出現 「御座」「神座」の位置の変化は何を意味するのか
「天照御神を念じませ」という夢 「博士の命婦」は何を語ったのか
「金玉の如き二粒」になる神鏡 伊勢神宮に参拝できない天皇
「ただ今死なんずるなりけり。大神宮助けさせたまへ」 長元四年、斎宮寮頭事件
「我は皇大神宮の第一の別宮」
第七章 「神道」の成立と苦しむ神
「神道」の用語の初出は? 「神道」という用語はどこから来たか
神道・仏法・神祇 「寺」の建立を願う神 「神の罪業」とはなにか
「尼天皇」の大嘗祭と護法善神
コラム2 『古事記』をどう読むか
第Ⅲ部 中世篇
第一章 伊勢神宮と中世神道
トヨウケはなぜ伊勢に召喚されたのか 「豊受皇太神宮」という主張
なぜ内宮と外宮は対立したのか
度会氏のトップシークレット・ブック――『中臣祓訓解』とは何か
「祓え」の実践から導かれるもの
第二章 中世のアマテラスは何を語ったのか
アマテラスのあらたな託宣とは 「神人は混沌の始を守りて……」
天地開闢以前の神へ 変奏していく中世のトヨウケ神 神の始原へワープする
第三章 戦乱のなかの伊勢神宮
度会家行、闘う神学者 『類聚神祇本源』はいかなる書物か
天地開闢以前の「機前」へ 「神中の神、霊中の霊」 戦場と化した伊勢神宮
「御神体は蛇体にまします」 「煩悩即菩提」のアマテラス
第四章 「神道」のニュー・ウェーブ、吉田兼倶
「神祇管領長上」吉田兼倶、登場 延徳元年の密奏事件 飛来するアマテラス
大元宮に祭られる神とは 「吾国の神は、天地に先んずる神」
虚無大元尊神のルーツとは 天文神話学とアマテラス
僧侶たちに『日本書紀』を講義する 文明一四年、降下してきた貧狼星
「吉田の御社」に帰る神々
第五章 中世天皇と即位灌頂
解任された摂政関白と卜部氏 『釈日本紀』と「中世日本紀」の研究
「真床追衾」の中世的注釈とは 「玄龍車の真床追縁錦衾」から即位灌頂へ
即位灌頂とはなにか 即位儀礼と藤原家内部の競合 大嘗祭に与えた影響とは
一条兼良、吉田兼倶の説 中世最後の大嘗祭
コラム3 「伯家神道」という謎
第Ⅳ部 近世篇
第一章 復興した大嘗祭と垂加神道
天皇たちの戦国時代 「大神宮の神主に為され候へは……」
再興された東山天皇の大嘗祭とは 桜町天皇の大嘗祭と将軍吉宗
『大嘗会便蒙』発禁事件 山崎闇斎とはだれか 闇斎はどのように『日本書紀』を読んだか
「日本型華夷思想」と大嘗祭 「宝暦事件」の深層
第二章 光格天皇と本居宣長
天明の大飢饉と「御所千度参り」 「尊号一件」――光格天皇 vs 松平定信
一七四年ぶりの天皇行幸を「拝観」した人物とは 京都時代の宣長――「すままほしき里」
「王城の地」から『古事記伝』へ 近世神話としての『古事記伝』
「産巣日大御神」という神 「真心」の起源神話 宣長の大嘗祭論とは
『玉くしげ』と大政委任論
第三章 近世の伊勢神宮と神道
開かれていく伊勢神宮 「伊勢参り、大神宮へちょっと寄り」
キーパーソン、出口延佳 失われていた秘書たち 出口延佳の「神道」とは
中世の伊勢神道との違い 本居宣長と伊勢神宮とのかかわり
宣長はトヨウケをどう解釈したのか 「食」の根源の神へ
「天津日」としてのアマテラス 西洋天文学と近世神話
第四章 平田篤胤、驚異の神道
平田篤胤をどう読むか 宣長への入門のいつ?
「おぼえず阿波礼とうち出られて……」 『霊の真柱』と出版戦略
『古事記伝』と『霊の真柱』、何が違うのか 「天御中主神」と天主教
アダムとイヴ、ノアの洪水と「古伝」 「幽冥大神」とオホクニヌシ
「幽世に入ては無窮なり」 「東アジア知的共同体から離脱する立場」
中国古史・玄学への関心とは 高天原とは「北極の上空、紫微垣の内」
なぜ『赤県太古伝』を書いたか 篤胤の道教知識 なぜ〈仙境異聞〉なのか
「道統礼式」と「平田家二十五部秘書」 篤胤の近世神話の可能性
コラム4 水戸学派の大嘗祭
第Ⅴ部 近代篇
第一章 維新変革のなかの大嘗祭
「明治維新」と天皇即位儀礼とのかかわり 明治四年、大嘗祭の現場へ
「庭積机代物」に秘められたもの 「廃藩置県」と大嘗祭
「大嘗会告論」で語られる起源神話 格下げされた「神祇省」
近代天皇祭祀の特質とはなにか 伊勢神宮の消滅?
「神社ノ儀ハ国家の宗祀ニテ……」=神道国教化政策
近代の神々は祟らない? キーパーソンとしての「津和野派」
国学者・福羽美静の政治手腕 「国事犯事件」と矢野玄道
「平田派」は没落したのか 明治一四年、伊勢神宮と出雲大社の抗争
オホクニヌシは民権派の神?
第二章 大正デモクラシーと大嘗祭
大正大嘗祭の特徴とは あらたに造営された「春興殿」
国体/政体としての天皇 大正政変と民衆騒擾 天皇の不可侵性を支えるもの
「我等臣民は、此の盛典を奉祝すると共に……」 「神社=法的非宗教論」と大嘗祭
「報本反始の礼を正しうし給ふ」という思想 河野省三のベストセラー、『国民道徳論』
大正期の「宗教」とは
第三章 昭和三年の大嘗祭と折口信夫
「昭和三年」という年と大嘗祭 「実に神皇帰一の世界にして」
昭和四年の伊勢神宮、式年遷宮祭 世界恐慌・満州事変・神社
「神道学者」としての折口信夫 「神性を拡張する復活の喜び」
近世国学からの系譜 「今までの神道家の考へ方では、大嘗祭はよく訣らぬ」
今泉定助の「大嘗祭の精神」 川面凡児の「禊法」 星野輝興の大嘗祭論
第四章 近代異端神道の世界
もうひとつの「神道の近代」へ 出口王仁三郎と大本教 星野輝興と宮地厳夫
明治の世に出現した仙人 神道と神仙道との関係 伝授された「一の行」の深層
もうひとつの「真床追衾」 日本精神顕修会と伯家神道 日本精神顕修会に集う人びと
「運動」としての日本ファシズム 血盟団的潮流とは 内務省が研究した「ファッショ」
天野辰夫の「高天原的国体論」 「国家主義系団体員」と神道大社教・千家尊建
鬼倉重次郎と「皇道斎修会」 「超国家主義」運動の敗北
三島由紀夫『英霊の聲』のふたつの天皇像 『霊学筌蹄』から導かれたこと
「などてすめらぎは人間となりたまいし」
第五章 「われ、神にあらず」――戦後天皇と神道の行方
「神道指令」と神社本庁の設立 天皇は「人間宣言」したのか 継続された「宮中祭祀」
「われ、神にあらず」と「みこともち」論 「神社本庁」創立一周年記念講演
「神道宗教化」論の可能性 なぜ「超越神・創造神」なのか
「宗教的自覚者」を求めて 折口信夫の彼方にあるもの 「まだ回答は闇のなかにある」
あとがき――自己の研究史を振り返りつつ
参考文献
人名索引
著者プロフィール
斎藤 英喜 (サイトウ ヒデキ) (著)
【著者】斎藤 英喜(さいとう・ひでき)
1955年、東京生まれ。日本大学文学研究科博士課程満期退学。現在、佛教大学歴史学部教授。宗教文化論、神話・伝承学、神話思想史。著書に、『増補いざなぎ流 祭文と儀礼』(法蔵館文庫)、『折口信夫』(ミネルヴァ書房)、『安倍晴明』(ミネルヴァ書房)、『読み替えられた日本書紀』(角川選書)、『陰陽師たちの日本史』(角川新書)、『異貌の古事記』(青土社)など、ほか多数。
上記内容は本書刊行時のものです。
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