「日本・中国迫害報告」 ペドロ・モレホン 1621年 リスボン刊
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駒込・千石chariot
駒込の東洋文庫ミュージアムでは「キリスト教交流史ー宣教師の見た日本、アジアー」展が開かれています。
会期は5月12日(日)までです。
休館日は火曜日です。
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キリスト教のアジア各地への伝播の様子を宣教師の資料などから見ていく展覧会で、
布教や弾圧の歴史を示す貴重な文献が揃って展示されています。
「大秦景教流行中国碑」 原碑:781年(唐時代)建立 拓本
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431年のエフェソス公会議で異端とされたキリスト教ネストリウス派はペルシャや
モンゴル・中国で布教を続けていました。
碑文には教義や唐の玄宗皇帝に保護されたことなどが書かれています。
「東方見聞録」 ジョバンニ・ラムージオ編 1583年
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東洋文庫はマルコ・ポーロのアジアでの見聞を口述した「東方見聞録」の、
言語や出版地の違う約80種類を所蔵しています。
「聖イグナチオ・デ・ロヨラ伝」 ダニエッロ・バルトリ 1650年 ローマ刊
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16世紀に宗教改革に対抗して設立された修道士会であるイエズス会の創設の一人、
イグナチオ・デ・ロヨラの伝記です。
「ザビエルの生涯」 ホラティウス・トゥルセリヌス 1600年 ヴァリャドリッド刊
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イエズス会の創設者の一人で、日本にキリスト教を伝えた宣教師、フランシスコ・ザビエルの
伝記です。
イエズス会は現在も活動し、上智大学もイエズス会が運営しています。
「エヴォラ版日本イエズス会書簡集」 イエズス会 1598年 エヴォラ刊
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九州のキリシタン大名たちがローマに派遣した天正遣欧少年使節と面会した
ポルトガルのエヴォラの大司教が感激して、発行費用を負担した書簡集です。
4人の少年使節は後に、1名は国外追放され、1名は殉教し、1名は棄教しています。
「日本の歴史」 シャルルヴォア 1754年 パリ刊
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日本でのイエズス会の活動を記述し、日本人の生活や習慣を解説しています。
図版は安土城ですが、実際とはかなり違います。
織田信長はキリスト教の布教を許し、教会(南蛮寺)の建設も認めています。
「伊達政宗遣欧使節記」 シピオーネ・アマーティ 1617年 インゴルシュタット(ドイツ)刊
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伊達政宗が欧州に派遣した使節の支倉常長にスペインからローマまで同行した
通訳の記録です。
「ドチリーナ・キリシタン」 1592年 国指定重要文化財
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ローマ字表記の日本語で書かれたキリスト教布教のための問答集で、宣教師の
日本語教材として使われたと思われます。
遣欧少年使節の帰国時に宣教師ヴァリニャーノが持ち込んだ活版印刷機を使い、
木版印刷されています。
「サクラメンタ提要」 ルイス・セルケイラ編 1605(慶長10)年 長崎刊
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遣欧少年使節の持ち帰った印刷機で印刷されたカトリックの儀式の二色刷りの手引書で、
五線譜に書かれたグレゴリオ聖歌も19曲納められています。
「日本・中国迫害報告」 ペドロ・モレホン 1621年 リスボン刊
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豊臣秀吉はキリスト教に危険を感じて宣教師を追放し、徳川幕府もキリスト教を
禁止しています。
日本各地でのキリシタンの弾圧の他、大坂の陣、徳川家康の死などについても
書かれています。
「島原天草日記」 松平輝綱 1638(寛永15)年 書写年不明
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父の松平信綱に従って島原の乱の鎮圧に従軍した輝綱の日記です。
一揆の人たちが斬首される様子も記されています。
「日本殉教精華」 アントニオ・フランシスコ・カルディン 1650年 リスボン刊
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島原の乱の翌年の1639年に幕府がポルトガル船の来航を禁止したことに対し、マカオの
ポルトガル人は貿易の復活を求めて使節団を送りますが、ポルトガル人使節4名と
各国出身の随行者57名は斬首刑に処せられています。
「破提宇子」 景恵俊 1620年成立 1868年刊
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大徳寺の僧だった恵俊が洗礼を受けて修道士となった後に棄教し、キリスト教を
非難した書です。
提宇子(デウス)とはキリスト教の神のことです。
「破切支丹」 鈴木正三 1662年刊
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鈴木正三は元旗本の禅僧で、関ヶ原の戦い、大坂の陣に従軍して武功を挙げますが、
出家して仏教の興隆に務めています。
キリスト教を理論的に批判した書です。
「世界教会史」 コルネリウス・ハザード 1678年 ウィーン刊
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1623年の江戸の三田で宣教師や信徒50名が火あぶりで処刑された事件も書かれています。
「キリスト教中国遠征記」 マテオ・リッチ、ニコラ・トリゴー 1615年 アウグスブルク刊
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マテオ・リッチに続いて中国での布教に務めたトリゴ―が編集したリッチの手記で、
明の習慣、法律についても書かれています。
展覧会のHPです。
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