国宝-工芸|四騎獅子狩文錦[法隆寺/奈良]
国宝『四騎獅子狩文錦』
遣隋使が持ち帰り、聖徳太子が自身の御旗としたという伝説が残る錦で、フェノロサと岡倉天心によって夢殿の厨子が開かれた時に発見された。 縦250cm×横134cmの非常に大型の布で、現在は退色しているが、紅花の赤や藍色などの原色を多用した、色鮮やかなものであった。
円の中に、ペガサスに乗った人物が振り返って獅子を射る姿を4騎織りだし、その円を等間隔に並べて、間には幾何学と唐草を組み合わせた模様で埋められている。 騎馬の人物が獅子狩りをする模様はササン朝ペルシャで好まれ、染織品だけでなく調度品の模様に多く使われた。 模様の一部に「山」や「吉」の漢字が織られていることから、ペルシャを意識して中国で織られたと考えられる。
この国宝を観るには
布製品は経年劣化が激しく、国宝の中でも特に公開が限られるが、この錦も非常に公開が少ない。 過去には法隆寺で特別公開されたこともある。
公開履歴
2021/8/11~9/5 東京国立博物館「聖徳太子と法隆寺」
2017/10/3~10/29 京都国立博物館「国宝展」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-320
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋normal
【指定番号】00033-00
【種別】工芸品
【指定名称】四騎獅子狩文錦
【ふりがな】しきししかりもんきん
【員数】1面
【国】中国
【時代・年】唐時代
【寸法・重量】縦250.3cm、横134.5cm
【品質・形状】綾組織の緯錦。主文は、径45㎝ほどの連珠円文のなかに花樹を中心として上下左右に翼馬にまたがり振り返りながら獅子を熬る四人の人物を左右相称に配す。
【所有者】法隆寺
【国宝指定日】1951.06.09
【説明】連珠円文の中に左右相称の獅子狩文を配した独特の文様、さらに人物の容貌や頭冠の形などに、ササン朝ペルシアの影響が見られるが、馬の尻部分に「吉」「山」の漢字が織り込まれていることから、中国で製織されたものと考えられる。複雑な文様構成であるが、文様の崩れや形式化もなく、見事な織技が見られる。
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