アイちゃんのあかりを訪ねて
夏の夜にゆらゆらとゆれる光の稲穂 - 秋田市編 -
秋田市民俗芸能伝承館(ねぶり流し館)
東北三大祭りに数えられる仙台七夕まつり、青森ねぶた祭、秋田竿燈(かんとう)まつり。今回、アイがお邪魔した「秋田市民俗芸能伝承館」は、竿燈の起源といわれる七夕行事「ねぶり流し」にちなんだ愛称の民俗芸能伝承館で、竿燈をはじめとする郷土の民俗行事や芸能の保存伝承をつたえる展示館!竿燈まつりは夏真っ盛りの8月はじめに行なわれ、大小230本を越える竿燈が、提灯に点灯して秋田市内を練り歩くの。竿燈の大きさは大若、中若、小若、幼若の4種類で、大若の長さは12m、町紋を描いた提灯の数は46個で、重さはなんと約50kg。
それを差し手が、平手・額・肩・ながし・腰の5種類の技で支えながら、はやしの太鼓に合わせて演技する力と技の男のまつり!残念ながらアイは実際のまつりを見ることこそできなかったけど、民俗芸能伝承館で、竿燈の演技にチャレンジしたよ!
夏の夜にゆらゆらと揺れる光の稲穂
入館すると、3階まで吹き抜けの展示ホールには実際にまつりで使われる迫力十分の竿燈がずらりと並んでいて壮観。大若より一回り小さな中若(長さ10m、30kg)、小若(長さ7m、15kg)、幼若(長さ5m、5kg)が並べて展示されていて、アイの目の前で館員さんが中若の妙技を披露してくれました。「エィ」という気合が入ると、見事に中若が額に屹立!まったく身じろぎもしません。本当にお見事。アイも思わず拍手です。
館員さんの説明を受けてアイもためしに小若に挑戦。「うーん・・・重たいよぉ。バランスがまったく取れないよぉ」せめて平手くらいは何とかなるかなぁと思っていましたが大失敗(涙)。小若は、小学校高学年ぐらいが上げるものと書かれていましたが信じられません。大若をかつぐ差し手のすごさを改めて実感です。竿燈は夜の行事であり、その提灯に灯る蝋燭の明かりは優雅にして華麗な灯火の美を夏の夜空に描きます。
竿燈の技も第一に求められるのは、この美しい竿燈の明かりを消さないことにあるそうです。アイは提灯の火で大きく揺れる竿燈が燃え広がらないのか疑問に思いましたが、きちんと決まった方向に竿を倒すと、提灯の下の開いているところから空気が入り込んで、一気に火が消えるようになっているそうです。ちゃんと色々なことが配慮されていて感心です。
館内は竿燈のほかにも、展示ホールでは土崎港曳山まつりの置山車や太平山三吉神社のぼんでん祭りのぼんでんを展示。竿燈まつりが秋田の夏を彩る行事なら、ぼんでん祭りは 1月17日に行なれる厳寒の冬の秋田を熱くする勇壮な行事。ぼんでんは大きな御幣(ごへい)で神様の依代(よりしろ)や奉納物の役目をするの。長さ3mほどの竹に円筒状の竹かごを取付け、それに色鮮やかな布や紙を貼り、頭部に太い布鉢巻きを巻いて当日の朝に数十組のはんてん姿の青年たちが各々のぼんでんを奉じて神社を目指すそうだよ。
2階の展示室では、秋田万歳(まんざい)や黒川番楽(ばんがく)などの秋田に古くから伝わる行事や民俗芸能を等身大の人形やパネルで紹介しているの。また、それらの発表会を開催したり、民俗芸能の保存と伝承、後継者の育成を目指した事業も行なっているんだって。
アイの知って得する豆知識
竿燈の起源
竿燈の起源には、笹竹に灯篭や短冊をさげて町内を練り歩き、川に流す行事と、佐竹義和公が秋田お国入りの際、作り灯籠をご覧にいれたものが結びついたものと言われるなど様々な説があるの。その中で最も有力な説が、夏の睡魔を追い払うため全国各地で様々なかたちで行なわれていた「眠り流し」のお盆行事で、それに庶民の豊作祈願が結びついて、ろうそくが一般庶民にも使用されるようになった江戸時代の宝暦年間(1751~1763)のころ、久保田城下(現在の秋田市)の外町(町人町)で始まったといわれているの。
竿燈という言葉が使われるようになったのは明治14年(1881)になってからだそう。初期の竿燈は親竹と横竹によって組み立てられたものに、提灯をつるして持ち歩き、力自慢を競い合ったの。その後、額や肩、腰などにのせて妙技を競うようになり、またこれをもっと高くするために継ぎ竹が考案され、さらに花傘や勇み人形、纏(まとい)などが飾り付けられて、現在のような竿燈に近くなったそうだよ。
秋田市民俗芸能伝承館(ねぶり流し館)
- 所在地
- 秋田市大町1-3-30
- 電話
- (018)866-7091
- URL
- https://www.city.akita.lg.jp/kanko/kanrenshisetsu/1003644/
- 開館時間
- 午前9時30分 ~ 午後4時30分
- 休館日
- 年末年始(12月29日 ~ 1月3日)
- 入館料
- 大人100円(赤れんが郷土館との共通観覧券は、大人250円)
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