2024年9月26日木曜日

四国のおすすめ観光スポットをご紹介 > コトバス> 阿波最古と噂される古刹に集まる力自慢たち < 大山寺 / 徳島県上板町 >

四国のおすすめ観光スポットをご紹介 > コトバス> 阿波最古と噂される古刹に集まる力自慢たち < 大山寺 / 徳島県上板町 >

阿波最古と噂される古刹に集まる力自慢たち < 大山寺 / 徳島県上板町 >

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徳島県は大山(おおやま)の中腹に位置する、大山寺(たいさんじ / おおやまでら)

お寺の始まり(開基)は西暦500年頃と、非常に古い。
一般的に 仏教が伝来したのが538年。倭(わ、現 日本)と関係が深かった百済(くだら、現 朝鮮半島南西部)の聖王(せいおう)が、仏像と経典を倭に献上したことが、公式的に仏教が伝来した年とされる(552年説もあり)。

それでいくと 大山寺が開かれた年との辻褄が合わない。

まず考えられるのは、その開基の年は あくまで伝説の域を出ない、という事。
もう一つは、538年という年は 朝廷に仏教が届いたことが記録された初めてのタイミングであり、非公式的 もしくは民間レベルでは、それより早く仏教が日本に伝来していた、ということかもしれません。

いずれにしろ 歴史ある古刹であることに変わりはなく、今でも多くの参拝者が ご利益を求めてこちらの寺院を訪れます。

枝垂銀杏

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まず目に入る 大きな銀杏の木。
枝の張り、垂れ方。境内を覆わんばかりの大銀杏の本番は 11月中旬。真っ黄色に染まった大木は 麓からもその存在がわかるほど。

イチョウは幹から出る気根(きこん)の形状を乳房になぞらえて、 「乳の出が良くなる」 「乳銀杏(ちちいちょう)」 と、女性の信仰の対象になることが多い。

この時は冬期で葉が全て落ち、次の春を迎えるための英気を養っていました。

義経ゆかりの愛馬・薄雪(うすゆき)

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源義経の愛馬・薄雪(うすゆき)

神戸須磨での 一ノ谷の合戦後。
義経らは讃岐國(香川)へ落ち延びた平家の軍勢を追って 同じように船出したが、嵐に遭い 阿波國(徳島)へ漂着した。
そこから陸路で阿讃國境の大坂峠を越えて讃岐國へ入り、屋島で次の一戦(屋島の合戦)を交えることになるのですが、その際に 阿讃國境に位置する大山寺に立ち寄る。
この寺の僧・太郎坊と 自身が育った鞍馬寺の僧・俊坊はかねてから親交があり、立ち寄った義経は 武運長久を祈願すると共に、愛馬であった薄雪(うすゆき)を奉納した。

純白の毛を持つ美しい優駿の存在は 瞬く間に国中が知ることとなり、戦でも勝利を収めた。

この故事にちなんで、勝負事の祈願や 牛馬守護の信仰が、今もこの寺には続いている。

奥の院・黒岩大権現

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薄雪が奉納されている場所から後ろの道を登っていくと、30~40分で黒岩大権現社に到着です。

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奥の院とは 寺社などの霊場が始まった場所。すなわち 神仏が現れた場所ということですが、それは山の頂上であったり、人里離れた大自然に降臨されることが多い。

大山寺の場合も 寺の境内から更に山を登った地点に奥の院がある。

ここまで参拝に来られる方は あまり居ない。とても心静かに参拝を行うことができるので、時間に余裕があれば 登頂おすすめです。

大山(おおやま)頂上へ

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更に更に、奥の院黒岩大権現社から7~8分歩くと、大山(おおやま)の頂上に到着です。
大きな鉄塔は 徳島県側の山麓から見つけることができるので、下山してから 「あそこまで行ったんだ」 と答え合わせをしましょう。

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その鉄塔付近が大山山頂・標高691m
山の稜線が徳島・香川の県境になっていて、山頂は正確には香川県側に位置しています。

日本に48箇所しかない天測点

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鉄塔、三角点の近くにある こちらの八角形のコンクリート柱。

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天測点と書いて "てんそくてん" と読みます。

かつて、天文測量を行うために基準とした地点で、四国では 「高知県四万十町の五在所森」 と 「香川県東かがわ市大山山頂」 の二地点。全国でも48箇所しか存在しません。

四角柱 / 八角柱
場所によってデザインは異なりますが、重量がある測量機器を置くに耐え得る必要があるので、コンクリート製で頑丈に造られています。

その後は測量機器の軽量化により 天測点は使用されなくなり、現在の天文測量はGPSが主役を担っています。

大山寺初会式・力餅

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大山寺境内に戻りまして、目に入るこちらの大きな餅。

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こちらを台座ごと持ち上げて運ぶ 「力餅」 の神事が、大山寺には伝わっています。

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行われるのは、例年 一月第3日曜日

男性の負担重量は、142kg

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これを持ち上げ、身体を回し 前進して、何m運ぶことができるかを競う。

男性の優勝者は 70mほど運ぶというので、これは本当に神業です。

力餅の由来は 当地の戦国武将・七條兼仲(しちじょう かねなか)が、大山寺で武運長久を祈願したところ 怪力を得、その御礼のために九重の石塔と 大きな鏡餅を寺へ背負い上げたことにちなみます。

現在、男性の優勝者は 13連覇中。
我こそは力持ちという腕自慢の方々。2020年、一月第三日曜日に 大山寺へ ご集合下さい。

仏王山大山寺(別格二十霊場 第一番札所)

< 自家用車 >
高松駅から 約1時間20分、66km
高知龍馬空港から 約50分、30km

※ 主な地点からの最速・最短距離

※ 寺院へ自家用車で行くことが可能ですが、麓から寺へ続く道が 非常に狭いので、運転には十分お気をつけください
※ 力餅開催日など 催事の際は、上り/下りの時間帯一方通行が実施されます

この記事を書いた人

野瀬 章史/ゲストハウスそらうみ 四国八十八ヶ所霊場会公認先達 法名・照山の僧籍

四国高松でゲストハウスそらうみを運営する傍ら、四国八十八ヶ所霊場会公認先達として、お遍路さんの案内を務める。法名・照山(しょうざん)の僧籍も持つ。趣味はバイクツーリング、カヌー、登山、鉄道、料理など。日本の全離島・全地点を隅々まで回るべく、愛犬しょうとの日本一周旅の途上。

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山中の静かな無人駅のプラットホームに立つ、大きな三角柱。

「日本一の大杉」
「美空ひばり ゆかりの地」

と大きく書かれています。

列車でも自家用車でも、通常は通り過ぎてしまう場所ですが、一見すると何もない無人駅であっても、そこや周辺にはいくつかの見所があります。

とまレール大杉

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大杉駅(おおすぎえき / 高知県大豊町)

バンガローのような三角屋根が特徴的な駅舎は "とまレール大杉" と名付けられた、地元の大豊中学校の生徒たちが関わって建てられたもの。
元々 地元産の杉材を使用した駅舎がありましたが、平成16年(2004)に不審火により焼失。翌17年に現在の駅舎が再建されました。

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近隣の路線図・料金表

周辺の拠点となる 「高知」 「阿波池田」 の、だいたい真ん中と言える位置。

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赤字は特急の発車時刻。
特急停車駅ですが 全ての特急列車が停車するわけではありません。
また 各駅停車の本数が少ない区間で、お昼前後に 2~3時間列車が発着しない時間帯があるので、予め計画を立ててから利用しましょう。

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プラットホームに出てみます。

山中の無人駅

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プラットホームは、線路が一面二線敷かれた島式ホーム。
跨線橋など階段はなく、バリアフリーと言って良い構造です。

時折 特急列車が高速で通過するので、警告音・接近音には よく耳を傾けて、線路を横断するようにしましょう。

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大杉駅の駅名標と、プラットホーム上にある小さな小屋。

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大杉駅のホーム待合所。
暖房設備こそないものの、戸や窓を閉めることができる構造なので、雨風をしのぐことができます。

路線の地点を知るキロポスト

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②番線(高知・中村方面)
の山側に目をやると、

「87」
と記された標柱が立っています。

"距離標(きょりひょう)"
通称 "キロポスト" と呼ばれるもので、路線の起点からの距離を示すもの。

- 土讃線 -
(香川県)
0.0... 多度津
11.3... 琴平
(徳島県)
43.9... 阿波池田
65.5... 大歩危
(高知県)
87.2... 大杉
126.6... 高知
198.7... 窪川
※ 主な駅。単位はkm

鉄道会社の規定によって異なるが、キロポストは 基本的に1kmごとに立てられる。
トンネルや鉄橋のような キロポストを立てるスペースに制約がある地点では、それらを避けて 500m単位・100m単位のものが見られる。
また、駅のような大きな目標物となる地点は 小刻みな単位で立てられます。

鉄道の起点からの距離なんて、普通の乗客からしたら 全く気にも留めなければ、必要な情報ではありません。
しかしながら乗務員・指令・保線作業員にとっては、不変の距離数字を通じて 路線の詳細地点を知り 共有するために、欠かせないものとなっています。

歌謡界の女王ゆかりの地

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三角柱のところにやってきました。

"日本一の大杉"
"美空ひばりゆかりの地"

"碁石茶の里"

とも記されています。こちらも大豊中学校の生徒の制作。

昭和22年(1947)4月。
当時9歳の美空ひばりは、公演旅行中にこの場所で交通事故に遭う。それはバスごと崖から転落する大事故で 下を流れる穴内川まで落ちれば全員死亡の大惨事になっていたであろうところを、一本の桜の枝が バスのバンパーに引っかかり、転落を免れ 九死に一生を得た。
一か月の大豊町での療養を経て 高知の病院に転院する際、ひばりは 近くにあった日本一の杉の大杉(八坂神社)を訪れ、

「日本一の歌手にしてください」

と祈願した。その後の活躍は皆が知るところです。

半数が通過する特急南風

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下り特急列車がやってきました。

"特急南風"
ヘッドマークのイメージは土佐湾にも接岸する 鯨(クジラ)

岡山で新幹線からの乗換客を迎えた列車は、瀬戸大橋を渡り 土讃線を走って高知まで軽快かつ ディーゼル列車らしく力強く駆け抜けます。

一部の列車は高知から先 中村・宿毛にも乗り入れますが、平成31年春のダイヤ改正で延長運転は廃止になるようです。また現在使用されている こちらの2000系気動車は、運用開始から30年近く経っているため、近い将来 新型車両への置き換えが予定されています。

閑けさが魅力...無人駅

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上り 各駅停車がやってきました。

実は午後に駅に到着して、この列車が来るまで 2時間以上時間があったのですが、駅の周辺を散策して 何度か通過する特急列車の写真を撮って...
としているうちに、すぐに時間が経ちました。この間で誰も駅に来ることは無く、この各駅停車でも 自分以外の乗客の乗り降りはありません。

世の中 人があまり来ない静かな場所は数多くありますが、無人駅には 静けさ、というよりか閑けさと書いた方がしっくりくるような、独特の空気感があります。
駅という 元々は人々の暮らしの中心にあった場所が、その地位を失ってしまった哀愁感。かつてはそんなことはなかっただろうに...

(駅施設はあくまで列車利用者のための施設ですが)
読書なんかにも向いてそうです。

大杉駅周辺のみどころ

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町内殆どが山林に覆われた大豊町。

駅から徒歩圏内の天然記念物・杉の大杉
四国最古の建造物であり国宝指定を受けている・豊楽寺薬師堂(ぶらくじやくしどう)
のような文化財や、

清流・吉野川の流れを生かしたラフティング
星の観測に適した山荘梶が森
と言った大自然。

ひばりさんの名前を冠した名物食堂など。

通過するだけでは勿体ない見所が いくつもあります。

大杉駅

< 自家用車 >
高松駅から 約1時間20分、98km
高知龍馬空港から 約40分、34km
< 公共交通機関 >
JR土讃線 大杉駅

※ 主な地点からの最速・最短距離

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