図説東京国立博物館
1966
石造彫刻など
法隆寺宝物館前庭の石造彫刻群
構内のところどころに置かれている石造彫刻その他の遺物は,来観者の鑑賞に供せられるととも
に、庭園の点景ともなっている。 まず, 正門を入って左へ法隆寺宝物館に向う通路の傍には,大き
な鬼瓦が組み上げられており,八角石柱1基,石人2軀及び石獣2軀がたてられている。 その鬼瓦
は黒田家江戸屋敷の鬼瓦で、雲紋をあしらった雄偉なもの,石柱は李朝の墓標であり,石人は同じ
く李朝の文官石像で平壌附近にあったものと伝え, 石獣は清時代の遺物である。 また、この通路に
沿って須弥山石像及び石人像が並び立っているが,それらは奈良県高市郡明日香で発掘された飛鳥
時代の石造彫刻で、当時の貴族の庭園を飾っていたものであろうといわれている。
表慶館背面の芝地には数基の石人及び石羊が点在するが,それらは朝鮮江原道発見と伝えられる新羅時代のものである。
なお,旧十輪院宝蔵の後方に陳列されている各地出土の石棺はいずれも大石から彫成された
堂々たるものであり,その傍には,福岡県八女市,熊本市池田,熊本県山鹿市チプサン等で発見
された阿蘇熔岩製の石人が並んでいる。 これらはいうまでもなく古墳関係遺物であり, 石人は6世
紀のものとされている。
元年(1334) の銘があり, 阿弥陀三尊の種子が彫られている。 また, 本館後庭の春草の傍には,
表慶館の入口階段わきには供養碑1基がみられるが, それは神奈川県小田原市発見のもので建武
明治14年の内国勧業博覧会碑と, 博物館建設に功労のあった町田石谷翁の記念碑 (明治43年建碑 )
が建っていて,ともどもに博物館の歴史を語っている。
0 件のコメント:
コメントを投稿