2024年12月8日日曜日

コレクション日本歌人選 柿本人麻呂 | 高松寿夫 |本 | 通販 | Amazon

2012年9月25日に日本でレビュー済み
今昔秀歌百選掲載の「あしひきの山川の瀬の鳴るなへに弓月が獄に雲立ち渡る」
平成新選百人一首「東の野にかぎろひの立つ見えて かへり見すれば月かたぶきぬ」
のいずれの解説もなかったが、柿本人麻呂の人について知り始めることができた。
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レポート
若村さき
2011年6月14日に日本でレビュー済み
『万葉集』最大の歌人柿本人麻呂の代表歌41首(長歌12首、旋頭歌1首を含む)を、
・「人麻呂歌歌」
・「人麻呂歌集歌」
・「伝人麻呂歌」
に分け、人麻呂の多面的な人物像(持統天皇の吉野行幸に供奉したり(8頁)、と思えば伊勢行幸の時は留守番だったり(12頁)、筑紫に赴任したこともあり(34頁)、当時話題になっていた火葬を読み込む、「風俗作家」でもあったり(74頁))を紹介し、人麻呂歌の特色(たとえば「万葉の挽歌ばかりでなく、哀傷の和歌の歴史全体から眺めても、きわめて希有なスタイルの作品である」(63頁)など)を丁寧に解説しています。

また、『万葉集』の最初の人麻呂歌「近江荒都歌」で始まり、その後は巻にこだわらずテーマごとに歌を並べて人麻呂の作歌活動の多面性を浮かび上がらせ、皇子、皇女の挽歌、亡妻の「泣血哀慟歌」、種々の死者追悼歌を経て、人麻呂の「臨死自傷歌」で閉じるという、「人麻呂歌」27首の配列も心にくい。

ただ、原文を省き(紙数の都合で仕方がなかったのでしょうか)、読みの問題点はほとんど触れていないのが、やや不満です。たとえば、有名な「東(ひむがし)の野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月かたぶきぬ」という歌の初、2句は、最近、「東(ひむがし)の野にはかぎろひ」と読む説が支持されてきていて、この本でもその読みが使われていますが(18頁)、前者の読みの今までの普及を考えると、一言触れるべきだったと思います。
また、「ひさかたの天の香具山この夕べ霞たなびく春立つらしも」の「天」に「あま」という読みが当てられていますが(88頁)、これは「あめ」が一般的なので、やはり一言説明が必要だと思いました。
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