2026年2月24日火曜日

高天原はタカアマノハラと読むこと|保立道久の研究雑記

高天原はタカアマノハラと読むこと|保立道久の研究雑記

高天原はタカアマノハラと読むこと

 学界ではよく知られている話ですが、ーーー 
  高天原について紹介しておかねばおかねばならないのは中村啓信の論文「高天の原について」(一九七三)である。中村は『古事記』『日本書紀』及び『延喜式』の祝詞などにでる高天原の用例を詳しく検討し、この言葉は『日本書紀』本文には現れず(六段本文にはあるようにみえるが本来は「高天」であった)、『古事記』では一〇箇所で使用されている『古事記』固有の言葉で、天武・持統天皇の時代に新しく成立したものであることを明らかにした。

 『日本書紀』にはただ「天の原」という記載が多く、それに「高」をつけて「高天原」という言葉が造語されたのであって、その意味ではタカアマノハラと読むべきことが確定している。これを、普通、タカマガハラと読むのはおそらく祝詞を朗詠するときの読みで、中臣氏が作ったものだろう。というよりも中村も言うように、「高天原」という言葉はおそらく最初は中臣氏が祝詞用の荘重な言葉として作ったもので、太安万呂は道教神学の立場から、それを『古事記』の用語として受け入れたのだろう。

 『古事記』の中村注釈、西宮注釈、神野志注釈などがタカアマノハラと読んでいるように、学界としては、中臣氏の祝詞の読み癖に従うのではなく、これが新しい言葉であることを明示するためにもタカアマノハラと読むべきことは確定している。

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