4.遺伝子が静かに語る絆――O1b2とD4系統が示す、南九州の高き頻度
現代の科学が、優しく、しかし確実に明かしてくれるものがあります。 それは、血の中に宿る記憶――遺伝子のささやきです。 Y染色体ハプログループO1b2(旧O-47z)は、弥生時代に朝鮮半島南部、伽耶(가야・伽倻)や百済の稲作民が携えてきた主要系統です。 日本全体では約22〜33%(研究により変動18〜28%)とされていますが、九州では特に高く、一調査では28.3%(15/53サンプル)を記録し、長崎・福岡では31〜37%を超える地域もあります。
伽耶地域の古代人骨(金海大成洞古墳群など)からもO1b2が検出されており、CTS1897などの下位系統が一致します。
日本全体のO系列(O1b2+O2)は49%、西日本では61%と高く、南九州のこの遺伝子共有は、伽耶渡来の静かなる証です。
O1b2は伽耶・百済エリアに起源を持ち、弥生時代から伝わったものの、白村江の戦い(663年)後の伽耶残党流入で、南九州に濃度がさらに増したと考えられます。 九州北部よりも南九州で高頻度が偏重しているのは、渡来人たちがさらに南下したルートを物語っています。 D4は東アジア広域に分布しますが、朝鮮南部(伽耶地域)で特に高く、南九州の女性渡来の優美な痕跡です。
核ゲノム解析でも、九州の弥生・古墳人が現代韓国人に近いクラスター(東アジア系+北東シベリア系)を示し、南九州の縄文基盤(D1a2a高頻度)に伽耶系O1b2が静かに溶け込んだ結果、現代鹿児島県民の遺伝子構成が「伽耶寄り」となっています。 この遺伝子の流れは、伽耶の職人や民が家族単位で移住したことを優しく示唆し、叫び声の文化とともに、血の記憶が南九州に深く刻まれたのです。 遺伝子は、言葉を超え、時代を超え、静かに古代の絆を語り続けています。
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