2024年10月25日金曜日

2月の新刊情報 : 幻戯書房NEWS 卑弥呼、衆を惑わす

2月の新刊情報 : 幻戯書房NEWS

2月の新刊情報 : 幻戯書房NEWS

篠田正浩 書き下ろし
卑弥呼、衆を惑わす
ISBN978-4-86488-166-1 C0095  四六上製 392頁 3600円+税
を2月下旬に刊行いたします。

河原者ノススメ
路上の義経
に続く、映画監督・篠田正浩書き下ろし3部作の掉尾を飾る力作です。
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写真(C)Mineko Orisaku

その鬼道に見る、女神アマテラスを祀る天皇制の始原。
20世紀の現人神の「神聖」に通底する、3世紀の巫女王の「呪性」。
記紀と倭伝の齟齬を衝き、「神話」と「正史」の結節点を探る、
日本人および日本国起源の再考。
天孫降臨から昭和の敗戦を貫き、そして現在の「象徴」を見据えた通史。

本文(序章)より
昭和天皇の「人間宣言」は神代のことではない。ヒロシマ・ナガサキを体験した二十世紀のことである。世界に対した十五年戦争のピリオドも、天皇の玉音によってこそ可能であった。天皇の玉音と卑弥呼の鬼道から発せられたコトバは、約千七百年という時を隔てながら重なり、今も日本人に底流しているのではないか。
日本という国の起源を知る権利は、歴史学や考古学だけのものではない。日本という島国に生を享けた者すべてがもつべき権利である。以下の拙文は、敗戦によって歴史の教師を失った私の、七十年余にわたる、一般の市民でも入手できる歴史資料を繙き、また史跡、博物館などで目撃、体験してきた報告の書である。

■目次
序章
第1章 アマテラスと卑弥呼
女神オオヒルメ 一書曰 水稲耕作という革命 青銅鏡の役目  銅鐸に映じる異神 カミの交代 ワとヤマト 朝鮮半島南部への進出 持衰 易姓革命と共立 アマテル 公孫淵と司馬懿 ポスト卑弥呼 
第2章 空白の四世紀
奈良盆地の古墳群 ヤマトトトビモモソヒメと三輪山 景初四年銘鏡 七支刀の銘 編纂者の作為 広開土王碑と神功皇后紀 祖国という死語 
第3章 女王国の現実
景初二年と三年 倭国の人口 陣頭巫女の系譜 神功皇后の新羅征伐と出産 応神という胎中天皇 生口の価値 朱いイケニエ 
第4章 卑弥呼以死
『三国志』の注記 
狗奴国の不満と魏の思惑 王殺し 二つの「建国」 三王朝交代説 
第5章 倭の五王
武と雄略とワカタケル 大悪天皇 継体の出自と皇統の分立 
第6章 蘇我氏と飛鳥王朝
タリシヒコとは誰か 日出ずる処の天子 日本という国号 律令の黎明
第7章 中大兄皇子
蘇我氏と渡来人の関係 鎌足の初出 俳優起用のアイディア 改新之詔 
第8章 白村江の戦い
斉明女帝の呪性 近親婚というタブー 昭和天皇の「長い記憶」 天智暗殺疑惑と額田王の挽歌 
第9章 壬申の乱
敗戦以前の歴史教育 天武天皇という異能の術者 赤という色 別の血筋がもたらした姉弟の悲劇 
第10章 神話と歴史
事実化された「詩」 津田左右吉の以前以後 「天壌無窮」の神勅 水穂国のイネ 『くにのあゆみ』 漢文と和習が混在する「正史」 持統女帝と藤原不比等 
第11章 伊勢神宮と天皇家
伊勢と三輪山の荒魂 アマテラス信仰の源流 心御柱の以前 アマテラスと女性性 「何処に人の代ならぬ神の代を置くことができようぞ」 浮いた軍事費 不改常典と平城京 出雲の賀詞と伊勢の禁令 
第12章 神から仏へ
仏教立国に向かった天皇の熱情 末法という岐路 祭祀権の所有者として
の源氏 元寇とその戦後  「御謀叛」と「悪党」 集合的無意識 流離う神の国 天皇をめぐる江戸期の視点と『大日本史』 本居宣長と賀茂真淵 新たな大和魂の誕生 
第13章 仏から再び神へ
島崎藤村の『夜明け前』とコミュニスト尾崎秀實 揺らいだ国体 
第14章 神から人間へ
神聖死 三島由紀夫が告発した「虚無」 
終章
あとがき 


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