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大嘗祭の中核神事、現存資料の200年以上前から存在か 木簡出土
奈良文化財研究所(奈良市)が平城宮跡近くで今春発掘した「大嘗祭(だいじょうさい)」に関係する木簡の中に、大嘗祭の中核をなす天皇と神が食事を共にする神事に使われる座布団や寝具を指すとみられる「神御茵(しとね)」と書かれた木簡片が見つかっていたことが分かった。周囲からはこの大嘗祭を行った聖武天皇(701~756)が儀式で使ったとみられるカシワの葉も出土しており、現存する文字史料より200年以上も前に既に中核の儀式が存在したことを示す証拠と言える。奈文研は22日から、出土した木簡を一般公開する。
大嘗祭は天皇が即位後初めて行う新嘗祭(にいなめさい)で、飛鳥時代の天武天皇から続く重要儀式。祖神が座るとされる「神座」と食卓をはさんで天皇が相対し、カシワの葉を編んだ容器に自ら供物を取り分けて食事を共にする神事などからなる。神座の隣には神が休む寝座も用意され、神にくつろいでもらうことで、新たな天皇が神の力を分け与えられるとされる独特の神事という。
奈文研は今回出土した形の残っている木簡約180点を分析。「大嘗」や聖武天皇の即位した「神亀元年(724年)」の文字のほか、平安時代の儀式書「延喜式」(927年成立)で供物として定められたイカやナシなどの荷札を確認した。
今回は新たに「神御茵」とある木簡片も2枚確認した。いずれも厚さ4~5ミリ、幅14~16ミリで、下の部分が欠損していた。敷き布団を指す「茵」の字は神座の座布団や寝座の布団を指すと考えられる。木簡片そのものの用途は不明だが、当時から神座や寝座を使った同様の神事があったと推定できるという。またその周辺から出土したカシワの葉は量が多いうえ、保存状態が良く緑色も確認できた。奈文研の山本崇・歴史史料研究室長は「本来、用意された供物は捨て場所まで決められている。まとまって見つかった今回の遺構はその廃棄場所なのかもしれない」と話した。
大嘗祭に詳しい国学院大の木村大樹・特別専任助教(宮中祭祀)は「『茵』が神座・寝座を示す可能性は高い。奈良時代にも延喜式の規定にある通りに儀式が行われていたと示す木簡が実際に見つかった意義は大きい」と話している。
奈文研の展示「聖武天皇が即位したとき。」は平城宮跡資料館(奈良市佐紀町)で12月8日まで。入館は午前9時~午後4時。月曜休館(11月4日は開館し5日休館)。1期(11月17日まで)と2期(11月19日から)で展示を入れ替える。入場無料。【稲生陽】
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