「深曽木の儀」は「天孫降臨」の再現だった?
「深曽木の儀」ではさらに、日置盤の上に二つの青い石が置かれます。この石はそれぞれ地球と月を意味しているとされ、つまり日置盤(高天原・宇宙)に浮かぶ地球と月を見ながら飛び降りるというのが、この儀式ということになります。そこから、この儀式には皇族(神)が高天原から降り立つ。つまり日本神話にもある「天孫降臨」を意味しているのではないか?という解釈も一部ではされています。
こうした儀式は歴史の中で様々な影響を受けて変化していくものなので、そこまで明確な意味が隠されているのかは想像の域になりますが、現在広く全国に浸透してきている「碁盤の儀」。実は神話上のエピソードを再現しているのかもしれないと考えると面白いですね。
【碁盤の上に乗ってジャンプの由来は皇室?】七五三の袴着の儀のルーツを探る│七五三お役たちサイト
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七五三の祭りでは、神社でいろいろな祈願祭が執り行われます。中にはごく普通のものもあれば、なぜそんな儀式があるのか疑問に思うものもあります。
例えば、子供たちが板の上でジャンプする光景を目にしたことがありませんか?なぜそんなことをするのか、不思議に思ったことはありませんか?失礼にならないかなど、いろいろな疑問が浮かんでくるでしょう。
実は、この習慣は現在の七五三の儀式に取り入れられたり、別の儀式として行われたりすることもありますが、元々はある皇室の行事に由来しており、碁盤には深い意味があると言われています。
この儀式は、中国から来日した天皇や天の使いの即位の準備を整えるための一種の祝賀行事として行われていたとされています。ここでは、碁盤に関連する話について紹介していきます。
七五三に組み込まれた碁盤と「碁盤の儀」
碁盤を使う儀式で最もポピュラーなのは、5歳の時に行われる袴着の儀です。細かい手順は神社によって異なるが、儀式の最後には、子供が碁盤の上から掛け声とともに飛び降ります。
神社によっては、碁盤から飛び降りるのは別に行われるところもあります。そのようなところでは、屋外に大きな碁盤を設置し、参拝した家族が自由に子供を乗せられるようにしていたりします。
特に飛び降りるというイベント性や写真映えがすることから近年になって始めたという神社も多く、たとえば「茅の輪くぐり」のように、季節の風物詩として全国に広がりつつあります。
- 茅の輪くぐりとは
碁盤の意味とは?
これも各神社によって細かな点は異なるのですが、ほとんどで共通しているのが、碁盤が「世界」をあらわしているということ。七五三の儀式は武家社会の中で発展してきた側面もあり、天下を取るという意味が古くにはあったようですね。
他にも、碁盤の目が規則正しく並んでいることから「筋目正しく育つように」という願いを込めている神社もあります。また子供にとって高い場所から飛び降り、大地を踏みしめることで「度胸がつく」「足腰が強くなる」「しっかり立って生きていく」といった解釈をしていることもあります。これは現代で言うバンジージャンプにも近い感覚ですね。
由来は皇室の儀式
このような碁盤を使った儀式は、皇室で行われている儀式が由来とされています。さらに以前では平安時代にまでさかのぼるとも言われますが、少なくとも現在一般的に神社で行われているものは、皇室の儀式にならったと言われています。皇室ではこの儀式を「深曽木(ふかそぎ)の儀」と言います。
41年ぶりに行われた「深曽木の儀」
皇室では5歳の時に「着袴の儀」と「深曽木の儀」という儀式が行われ、子供の成長を祝います。大まかな流れは神社などで行われているものと同じで、「皇室の七五三」と呼ばれることもあります。
近年では2011年に41年ぶりに悠仁親王が行ったということでニュースでも大きく取り上げられました。
その前に行われたのは1970年の、悠仁親王の父親である礼宮文仁親王によるものでした。江戸時代に生まれた明治天皇や、その親である孝明天皇が行ったという記録も残っているので、由緒あるものであることは間違いありません。この時に流れたニュースが、もしかすると現在の「碁盤の儀」の広がりにも影響を与えているかもしれませんね。
「碁盤の儀」とは少し違う「深曽木の儀」
「碁盤の儀」は、前述したように様々な解釈や親しみやすさを考える中で柔軟に変化してきていますが、「深曽木の儀」は皇室の正式な儀式であり、厳密な決まりによって進行されています。そしてそれを紐解くことで、碁盤の別の意味も見えてきます。
「深曽木の儀」で使われるのは「日置盤」
行事で使われる碁盤は正確には「日置盤」と言われるもので、一般的な碁盤が「19×19」の路、「18×18」のマス目なのに対して、「21×21」「20×20」である点が特徴的です。碁盤の一種ではあるのですが、この「日置盤」は、儀式において日本神話にも出てくる「高天原(たかまがはら)」をあらわしていると言われています。
昔の碁盤は囲碁を指すものではなかった
そもそも碁盤のはじまりは、現在のような囲碁を指す道具ではなかったと言われています。日置きという文字からも伝わるように、起源である中国では碁盤を宇宙、碁石を星と見立て、天文観測や占い、暦などに使っていました。
一方で日本神話でも馴染みのある高天原は、天照大神などの神様が住んでいた場所であり、有名な「天の岩戸」のエピソードなどもここを舞台としています。高天原の場所には諸説あって、実在した日本の場所であるというものから、天上にある、あるいはこの世ではない場所にあるなど様々ですが、神々の住んでいた特別な場所というのは多くの人に共通する認識でしょう。そうしたことから、昔の日本人は宇宙や天上をあらわす日置盤を高天原に見立てたのだと考えられます。
「深曽木の儀」は「天孫降臨」の再現だった?
「深曽木の儀」ではさらに、日置盤の上に二つの青い石が置かれます。この石はそれぞれ地球と月を意味しているとされ、つまり日置盤(高天原・宇宙)に浮かぶ地球と月を見ながら飛び降りるというのが、この儀式ということになります。そこから、この儀式には皇族(神)が高天原から降り立つ。つまり日本神話にもある「天孫降臨」を意味しているのではないか?という解釈も一部ではされています。
こうした儀式は歴史の中で様々な影響を受けて変化していくものなので、そこまで明確な意味が隠されているのかは想像の域になりますが、現在広く全国に浸透してきている「碁盤の儀」。実は神話上のエピソードを再現しているのかもしれないと考えると面白いですね。
まとめ
武家社会から現代まで、「天下取り」の伝統が受け継がれていることは興味深いですね。しかし、そのルーツとなる皇室の儀式の意味を理解すると、新たな解釈が生まれることも興味深いです。
現在、ハリウッドで人気のヒーロー映画でも、神様が天からやってきて戦うというストーリーがあります。『碁盤の儀』も実は神様が天から降りてくる儀式かもしれないと子供たちに伝えると、彼らにとっても楽しみが増えるかもしれません。そんなことを想像しながら、碁盤から飛び降りるカッコいい姿を写真に残すのも素敵ですね。
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