十間廊 諏訪大社上社前宮
十間廊は、古来から行われてきた重要神事の舞台
写真は、2月28日に行われた「野出神事」の祭場「十間廊」です。"ミシャグジの祭り"になぜ「菊の御紋」なのかは別として、長さが10間(柱間1.8m×10)あるので「十間廊」と呼ばれています。普通読みの「じゅっけんろう」でもクレームは付きませんが、正式な名称は「じっけんろう」です。
この社殿では、古来からの重要な神事が連綿と行われてきました。現在でも「御頭祭」に代表される「特殊神事」は、本宮ではなく、前宮のこの十間廊で執り行われます。古くは「神原廊(ごうばらろう)」とも呼ばれ、『諏方大明神画詞』にも出てきます。
諏訪教育会『復刻諏訪史料叢書第一巻』
十間廊の再建
諏訪大社社務所編『諏訪大社復興記』に、「昭和32年3月22日、付近の焚火の飛火によって類焼の災を受け…」とあり、焼け焦げた骨組みだけになった十間廊の写真が載っていました。新しいとは思っていましたが、火災に遭ったとは知りませんでした。
その〔再建〕の章に、抜き書きですが
天保14年改築し更に昭和14年内務省直営工事をもって修築したもので、間口三間奥行十間入母屋流造こけら葺。
天保14年における再建の記録を読むと「(略) 廻縁ヲ欠ク」とあるから、昭和14年の再建時に(今見るような)廻縁が加えられた。
とあります。なぜ廻縁を設けたのかは不明ですが、御頭祭では多くの参集者ですし詰め状態になっているので、その緩和に役立っています。
十間廊は「実検」廊
前書は、江戸時代の書物『信濃奇勝録』の〔御頭祭〕から「十間廊」を引用しています。
三月酉日本社より十八丁を隔て前宮に十間廊あり、往古は鹿狩之実検廊也と云、俗に十間廊と云、上段に一百余の燈篭を挑(かかげ)、猪鹿(ちょろく)の頭七十五俎板(まないた)にのせて供(そなふ)、
これだと、そのまま読んで「じっけんろう」になります。ここに集められたイノシシとシカの頭を、「首実検」と同じように「確かに75頭ある」と確認してから祭りに臨んだのでしょうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿