2025年3月18日火曜日

枕詞「天降付く」が教えること | 古代文化研究所

枕詞「天降付く」が教えること | 古代文化研究所

枕詞「天降付く」が教えること

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○昨日、2018年11月11日に、鹿児島県霧島市福山港にて、『天降付く天の香具山の風景』を見た。実に感動的な風景である。古代人も、この風景を見て感動し、枕詞「天降付く」を作った。その風景は、現代に於いても、十分に現代人を感動させる。

○もともと、枕詞とは、そういうものなのである。したがって、枕詞には古代人の言霊が宿っている。枕詞の一つ一つにそういう感動が潜んでいる。現代に於いて、枕詞をそういうふうに理解している人は少ない。

○当古代文化研究所では、そういう枕詞の復元を目指している。逆に言うと、枕詞の復元により、古代の感動的風景が、再び現代に甦る。そういう意味で、枕詞は大事な文化遺産であると言えよう。


○枕詞「天降付く」が意味するものは、太陽が香具山へ向かって落ちて行くと言うものである。それを「天降付く」香具山と表現した古代人の叡智と感性にまた驚かされる。それは見た者にしか感得出来ない感動である。

○鹿児島県霧島市福山港では、二十一世紀の現代に於いても、いつでも、『天降付く天の香具山の風景』を目にすることができる。それが枕詞「天降付く」の恐ろしさである。枕詞がそういう文化であることを、万葉学者先生自体がまるで理解していない。

●それでは、枕詞「天降付く」が何を教えてくれるか。ここでは、そういうことを考えてみたい。枕詞「天降付く」は、香具山に掛かる枕詞として知られる。つまり、枕詞「天降付く」が掛かるところが香具山なのである。枕詞「天降付く」は、基本、香具山にしか掛からない。それが枕詞「天降付く」なのである。

●奈良県橿原市に存在するのが香具山である。橿原市のHPには、次のように案内されている。
      香具山(かぐやま)
   平成17年に名勝指定された大和三山(やまとさんざん)と呼ばれる香具山(かぐやま)・畝傍山
  (うねびやま)・耳成山(みみなしやま)のうちの1つです。
   標高152.4m。万葉集では「天香具山」(あまのかぐやま)と詠われて、山というよりは丘の印象が
  強い南から続く竜門山地の先端部分に連なる山です。
   山塊は、閃緑岩や斑レイ岩などの堅い岩石で構成されているため浸食の度合いが低かったようで

  す。
   大和三山の中で、最も神聖視されています。「天の」を冠するのは、天から降り来た山と言われて
  いますが、その山の位置や山容が古代神事にふさわしいゆえに、あがめられたものだとも思われて

  います。
   山中には南に天岩戸神社(あまのいわとじんじゃ)、北に天香山神社(あまのかぐやまじん
  じゃ)、さらに国常立神社(くにのとこたちじんじゃ)があり、それらが一種の霊気のようなものを
  発散させています。
   万葉集では、中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)が大和三山のことを詠んだ歌があります。
   「香具山は 畝火ををしと 耳梨と 相あらそひき 神代より 斯くにあるらし 古昔も 然にあ
  れこそ うつせみも 妻をあらそふらしき」
  http://www.city.kashihara.nara.jp/kankou/own_kankou/kankou/spot/kaguyama.html

●実際、橿原市の香具山を訪れると、次のような案内板が設置されている。
            名勝 大和三山 香具山
              平成十七年七月十四日 文部科学省指定
   奈良盆地の南部に位置する、香具山(一五二・四叩法∪λ技魁憤豢絛紂ζ鶚叩法⊆成山(一三
  九・七叩砲了阿弔両高い山を総称し、大和三山と呼びます。香具山は桜井市の多武峰から北西に延
  びた尾根が浸食により切り離され小丘陵として残存したもので、畝傍山と耳成山は盆地から聳えるい
  わゆる死火山です。
   三つの山は古来、有力氏族の祖神など、この地方に住み着いた神々が鎮まる山として神聖視さ

  れ、その山中や麓に天香具山社、畝傍山口坐神社、耳成山口神社などが祀られてきました。また、

  皇宮造営の好適地ともされ、特に藤原宮の造営に当たっては、東・西・北の三方にそれぞれ香具山・

  畝傍山・耳成山が位置する立地が、宮都を営むうえでの重要な条件にされたと考えられています。
   大和三山を詠んだ和歌は多く、大和三山は重要な歌枕として、鑑賞上の地位を確立したほか、近世
  の地誌、案内記、紀行文などでも紹介され、万葉世界を代表する名所として、広く知れわたるように
  なりました。
   香具山は伊予国風土記逸文に「天から降ってきた」という伝承が残っており、「天の香具山」とも
  呼ばれます。万葉集において「天」という美称がつけられた山は香具山だけで、このことから多くの
  山の中でも特別な位置付けを持っていたと考えられています。

      香具山を詠んだ万葉歌
  大和には  群山あれど  とりよろふ  天の香具山  登り立ち  国見をすれば
  国原は  煙り立ち立つ  海原は  鷗立ち立つ  うまし国ぞ  蜻蛉島  大和の国は
                        舒明天皇(巻一     二)
  春過ぎて夏来るらし白栲の衣乾したり天の香具山
                        持統天皇(巻一     二八)
  久方の天の香具山このゆふべ霞たなびく春立つらしも
                        柿本朝臣人麻呂(巻十  一八一二)     
                    橿原市教育委員会  奈良森林管理事務所

◎つまり、日本人の誰もが香具山は奈良県橿原市に存在すると信じて疑わない。大和三山の一つで、文化庁の国指定、史跡名勝天然記念物になっている。その詳細解説には、次のように載せる。
   大和三山は奈良盆地の南部に位置し、香具山(152.4m)、畝傍山(199.2m)、耳成山
  (139.7m)の3つの独立小丘陵から成る。香具山は多武峰から北西に延びる支稜線が浸食によ
  り切り離され、独立丘陵として残存したもので、畝傍山と耳成山はそれぞれ沖積盆地底に位置する円
  錐形のいわゆる死火山である。
   3つの山は古来、有力氏族の祖神や産土神など、この地方に住み着いた神々が鎮まる山として神

  聖視され、その頂部や麓に『日本書紀』に記す天香具山社、『延喜式』の式内社である畝火山口坐神
  社、耳成山口神社などが祀られてきた。
   また、高市皇子(654〜696)の香具山宮や推古天皇(554〜628)の耳梨行宮など皇宮
  の造営地ともされ、特に『万葉集』の「藤原宮の御井の歌」と呼ばれる有名な長歌からは、694年
  に持統天皇(645〜702)が造営した藤原宮は大和三山に囲まれた平地に位置したことが知られ
  る。『続日本紀』に記す和銅元年(708)の「平城遷都詔」によると、平城宮では「叶四禽図、三
  山作鎮」土地が選地の条件とされたことから、藤原宮の造営に当たっても東・西・北の三方にそれぞ
  れ香具山・畝傍山・耳成山が位置する立地条件が宮都を営む上での重要な条件とされたことが想定

  できる。
   大和三山を詠んだ和歌は多く、特に『万葉集』には中大兄皇子や柿本人麻呂の和歌をはじめ、持統
  天皇の「春過ぎて夏来るらし 白たへの衣ほしたり 天の香具山」など有名な和歌が多数収められて
  いる。『万葉集』のみならず『古今和歌集』や『新古今和歌集』など後続の勅撰和歌集にも大和三山
  を詠った和歌が数多く見られ、大和三山は重要な歌枕として、その観賞上の地位を確立していった。
   さらに近世においては、『大和名所図会』などの地誌、案内記をはじめ、本居宣長の『菅笠日記』
  などの紀行文においても紹介され、万葉世界を代表する名所として広く知れわたるようになった。
   明治維新に伴い、大和三山の一部は御料地として帝室林野局の管理下に置かれたが、第2次世界

  大戦後、多くの区域は国有林野として農林水産省の管理下に置かれた。アカマツからアラカシ、ヒノ
  キ、リョウブなどが優占する林相へと遷移しており、全体として良好な森林の景観が維持されている。
   以上のように、大和三山は日本古来の神々が鎮座する山として神聖視されるとともに、古代宮都の
  造営に際して精神上又は景観上の重要な意義をもち、歌枕に関わる名所としても遍く知られた。その
  地形と樹叢がもつ観賞上の価値、名所的・学術的価値はともに高い。
  https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/explanation.asp

◎その奈良県橿原市の香具山で、枕詞「天降付く」を説明することは、誰にもできない。実際、橿原市の香具山を訪れると判ることだが、香具山とされる丘は、標高がわずか152.4mしかない。この辺りの平地の標高は80mくらいだから、香具山の実質の高さは、およそ70mくらいだと言うことになる。登山口から山頂までは20分ほとで登れる。

◎そういう山を、
  大和には 群山あれど とりよろふ 天の香具山
と、誰が詠じるだろうか。実際の香具山は、到底、そんな大仰な山容では無い。そのことは、橿原市の香具山なら、誰もが実感することである。

◎実際、奈良県橿原市の大和三山には、これまで、7回登っている。
  第一回  平成 4年3月28日
  第二回  平成15年8月11日
  第三回  平成17年5月10日
  第四回  平成21年3月29日
  第五回  平成22年4月 3日
  第六回  平成23年5月 3日
  第七回  平成29年9月 5日
だから、決していい加減な話をしているわけではない。

◎枕詞「天降付く」が私たちに教えてくれるのは、奈良県橿原市に存在する香具山は、本物では無いと言うことである。そして、本物の香具山は、鹿児島県に存在する桜島だと言うことである。恐ろしい話だが、それが真実である。枕詞「天降付く」は、決して嘘を付かない。

◎そんな大事な話を万葉学者先生は、何故か、誰一人として語ろうとしない。等閑にしたままである。そんな不思議な話は無い。つまり、枕詞「天降付く」は、中央の万葉学者先生の手に負える代物では無いことが判る。

◎それが日向国ではきれいに説明できる。枕詞「天降付く」の風景とは、太陽が桜島へ向かって落ちて行く風景に他ならない。そして香具山だけが「天の香具山」と形容されることも。

◎何のことは無い。香具山は海に浮かぶ島なのである。だから、「天の香具山」と形容される。そんなことは、奈良県橿原市では、到底、考えられない。それが「天の香具山」の真実でもある。

◎だから、このように、『日向国の万葉学』と銘打って、執念く発信を続けている。慌てることはない。将来、枕詞「天降付く」が日向国のものであることは、間違いなく承認される。真実は強いのである。虚妄の説に負けることはない。

◎自分の目を信じること。だから、こうやって、何度も訪れ、再確認するしか、方法は無い。そうしているうちに、先が見えて来る。ここに立ち止まっているわけにはいかないのである。そこには誰も見たことのない世界が広がっている。それが楽しみでならない。

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