簡易目次(『太平御覧』における「至於投馬国」と『魏志倭人伝』における「至投馬国」についての考察が本書の白眉)
簡易目次:
まえがき
第1章 記紀神話の舞台は阿波国内だった
第2章 阿波にはなぜ天皇と結びつく神社が多いか
第3章 阿波は天皇家の祖の土地だった
第4章 古代遺跡から見えてくる阿波の古代史
第5章 卑弥呼と天照大御神をめぐるタブーを明かす
第6章 中国正史から邪馬台国の場所を読み解く
第7章 邪馬台国は四国一円に広がる巨大な国だった
第8章 歴史から消された阿波古代史
第9章 徐福や呉の人々や古代ユダヤ人が邪馬台国を造った
エピローグ
YouTubeではじめてANYAチャンネルを見た時は驚いた。
本書前半(1~4章)は日本神話、特に古事記の舞台は阿波、後半(5~8章)は邪馬台国は阿波という主張。最終章でユダヤ系渡来人について簡単に触れている点は賛否を分けるだろうが合理的説明がなされている。
2025年に亡くなられた森永卓郎氏が『書いてはいけない』で日本のタブーを3つ書いていたが一つ目は本書で扱われる邪馬台国阿波説に差し替えると個人的にしっくりくる。論争からは300年、歴史的には1300年以上タブーになってきた話題だ。
本書はいろいろな集合知で成り立っているが、それでも「深曽木の儀」(39頁)、「至於」(124頁)については仮説としてもオリジナルで画期的だ。特に後者(第6章)の『太平御覧』における「至於投馬国」と『魏志倭人伝』における「至投馬国」という、一文字の有無が生む意味の違いの考察が本書の白眉。
これは邪馬台国への行路に決定的な解釈を与えてくれる。
邪馬台国論争はANYA以前と以後とに分かれるのではないか?
ユダヤの問題含めて、アカデミズムは無視するだろうが状況は変わってきている。前半笹田孝至氏、後半越智正昭氏の著作が参照される。
安本美典氏は名前が出てないが本書は卑弥呼=天照大御神説をとるので氏は九州説だが明らかに意識されている(101頁参照)。
以下、(本書には参考文献表がないので)参考文献:
『最終結論 皇都ヤマトは阿波だった』(笹田孝至、2024)
『サイエンスで読み解く古代史ミステリー 最終結論 邪馬台国は阿波だった! 』(越智正昭、2024)
(上2冊は本書で言及、参照されている)
『ユダヤアークの秘密の蓋を開いて 日本から《あわストーリー》が始まります』(香川宜子 Kagawa Yoshiko、2016)
『古代史入門: ~邪馬台国から平城遷都まで~ 阿波から始まる古代の軌跡』(藤井榮、2022)
阿波説で著名な岩利大閑氏の著作(『道は阿波より始まる』1~3)などは上記を読んでからでもいいだろう。
本書の著書ANYA氏は専門家ではないらしいが上の著者達(及び阿波の郷土史家として著名な三村隆範氏、土佐野治茂氏、三木家御当主ら)とも対話を積み重ねており、今後も開かれた言説の場を提供して行くだろう。そうした研究姿勢も画期的だ。
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