●オルフェウスの竪琴 ギリシャ神話 不慮の事故(毒蛇に咬まれた)でエウリュディケを亡くしたオルフェウスが冥界に行き、妻をこの世に連れ戻そうとしました。 詩人であるオルフェウスがリラ(竪琴)を奏でると、冥界の番犬も山川草木もすべてが、オルフェウスが奏でる竪琴の音色に聞き惚れました。 工ウリュディケを取り戻した後、冥界から脱け出すために二人は明るい地上を目指して小道を進んで行きました。 冥界の王ハデスがオルフェウスに忠告したのは、地上に着くまで後ろを振り返ってはいけないというものでした。 しかし、自分の後から本当に妻がついて来てくれているのか心配になり、途中で振り返ってしまったオルフェウス。 『振り向いてしまったのは、私を愛しく思うがゆえ。どうして貴方を憎めましょう』とにっこり微笑み、工ウリュディケは冥界に連れ戻されてしまいました。 オルフェウスは永遠に妻を失い絶望したオルフェウスは川に身を投げました。 ●イザナギとイザナミ 「日本書紀」 不慮の事故(火の神カグツチを産んだ時の火傷が元)で亡くなったイザナミを追って黄泉の国にやってきたイザナギ。 イザナギが迎えに来てくれたことを知ったイザナミは、「では、帰ってもいいか黄泉の国の神様に頼んでみます」と黄泉の神の御殿に入って行きます。 「ただし待っている間、決して御殿の戸を開けて私の姿を見ないでください」と言い置いて。 しかし、イザナギは約束を破り、中を見てしまいます。 イザナミは黄泉国の食べ物を食べたので体が穢れてしまいます。("黄泉戸喫(よもつへぐい)"と言います。) 美しかったイザナミの肉体は蛆が発生して腐乱状態にありました。 穢れたイザナミの亡骸には八つ(頭・胸・腹・陰部・左手・右手・左足・右足)の雷神まとわりついていました。 腐乱した妻を見て逃げ出したイザナギ。 夫に「決して自分を見るな!」と念を押していたにもかかわらず約束を破ったので、イザナミは大変怒り黄泉の軍団を引き連れて、イザナギを追いかけてきました。 イザナギは何とか黄泉の国から脱出。 千引岩(チビキノイワ:千人でひっぱらないと動かない岩の意味)で黄泉へ続く道である黄泉平坂(よもつひらさか)を閉ざしてしまいます。 イザナミは「あなたがそのような仕打ちをするのなら私は一日に千人の人間を黄泉に連れ去ります」とイザナギに言います。 イザナギは「そなたが千人を黄泉に連れ去るのなら私は一日に千五百の人を作ろう」と言い二人は決別しました。 黄泉の国から逃げ帰ったイザナギノミコトは禊をし、アマテラスオオミカミなどの神を産みました。 見てはいけないと言われたものを見て、全てをフイにしてしまう話は東西を問わず沢山あります。 神話学者の吉田敦彦氏によると、ヨーロッパから中東、アジアを経て日本に伝播した為に類似しているという事です。 女神が理不尽に死後の世界に連れて行かれ、男神が取り戻しに行くという話は一つで、地域や民族性でだんだんそれらしく脚色されていったのではないでしょうか。。 古代ギリシャ人は、人間の魂は死後も冥界に残るけれども、それは「影」や「鏡に映った像」の様な物で確かな形を取る事はなく、二度と生き返ることはないと信じていました。 日本でも「ものの哀れ」や「無常」という言葉があります。 どんなに願っても決して肉体的には戻ってはこないという事を印象付ける2つの話ですね。 〈蛇足> 相違点 ●ギリシャ神話 ・冥界のの住人になってしまった妻を愛するが故に会えない事を悲しみ死んでしまう夫。 夫に愛された工ウリュディケは幸せですね。 ※エウリュディケがヘビに咬まれた原因は人妻に懸想したアリスタイオスに追いかけられた事です。 意外とこちらもドロドロ愛憎劇があるんですね。 ●日本神話 ・黄泉国の食べ物を食べ黄泉国の住人として認められる"黄泉戸喫(よもつへぐい)" ヘグイを別の漢字で書くと "竃食い" となり、食べ物を煮炊きする "竈(かまど)" を 『ヘ』 と読みます。 クサイ 『ヘ』 を食べる事によって仲間と認められたという事でしょう。 イザナミノミコトは黄泉国の食べ物を食べたので、体が汚れてしまったという事になります。 ちなみにギリシャ神話では冥界の果実はザクロだそうです。 ・穢れてしまい黄泉の住人になってしまった妻を受け入れられず逃げてしまい、鬼と化した妻に追いかけられる。 しまいには離婚を言い渡す夫。 しかも妻は呪いの言葉を発し夫も売り言葉に買い言葉。 日本初の電撃結婚と修羅場離婚を繰り広げたカップルですね。 日本神話はドロドロ愛憎劇が多いです。
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