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以前起きたことが未来のある時点で完全にくり返される無限ループという考え方は、思想史的にはいつ頃から存在するのでしょうか。
2世紀ギリシャを生きたケルソスの以下の言葉は、グノーシス主義の輪廻説が生まれた背景について考える上でも非常に興味深いものです。
「[…]星辰が長い周期を経て、ソクラテス時代にあったのと同じ相互関係になったときには、ソクラテスが同じ親から新しく生まれ、同じ仕打ちを受け、アニュトスとメレトスに告発され、アテナイ高等法院から断罪されることになろう」(p.112)
現在、ケルソスの思想はオリゲネスの『ケルソス駁論』でのみ知ることができます。
クリアーノの『霊魂離脱とグノーシス』によれば、ケルソスに影響を与えたのはプラトンの『ティマイオス』に登場するいわゆる「プラトン年」という考え方です。
これは惑星の周期的循環と同じように、世界のあらゆる生成消滅にも周期があり、諸惑星が元の位置に戻ったタイミングで世界はもう一度開始地点に回帰するという考え方です。
ケルソスの主張するループは差異が生じない全面的反復であり、ボルヘスが哲学的エッセイ「円環的時間」(『永遠の歴史』所収)で述べるように、極めて過激な循環論の一形態だと言われています。
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