グノーシス主義の興隆に対して初期教会はどう反応したのでしょうか。
その最も古くて詳細な記録を残したのがエイレナイオスです。
彼は当時最新鋭だったプトレマイオス派に直接取材し、グノーシス神話を10年かけて徹底分析した本を後世に遺しました。
それが今日ついに入手した『異端反駁』です。
特にこの1,2巻はエイレナイオスが収集したグノーシス文書の研究成果が遺憾なく発揮された重要部分で、「解説」で訳者の大貫先生が述べるように、後代の反駁書と比較しても「信頼に足る」(p.171)証言記録であることが定説になっています。
この巻には『使徒行伝』でルカが使用しなかった魔術師シモン伝承のより詳細な資料も記載されています。
エイレナイオス以前ではユスティノスの『第一弁明』にもグノーシス批判が含まれていますが、記述の豊富さの点では『異端反駁』が圧倒しています。
ちなみに、エイレナイオスはヨハネ福音書記者の弟子だったポリュカルポスの最晩年の姿を直接目撃した人物の一人でもあり、初期教会について知る上でも貴重な情報源になっています。
※ルシアン・ベグル《聖エイレナイオス》(聖エイレナイオス教会、リヨン、ステンドグラス画、1901年)
#読書好きな人と繋がりたい
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