二ホンとニッポン 「日本」に2つの読み方がある理由とは? どちらの読み方が正しい? 専門家が解説
日本と書いて「二ホン」とも「ニッポン」とも読みますが、なぜ2つの読み方があるのでしょうか? 実際どっちが正解なのか気になった筆者は、教育出版・国語編集部に取材しました。
●読み方がふたつあるのはなぜ?
「日」は漢音「ジツ」と呉音「ニチ」、「本」は漢音・呉音とも「ホン」であるとのこと。そのため、まず呉音読みでニッポンと発音されたものが始まりだそうで、しだいに促音を発音しないニホンに変化。今となってはどちらも使用されている……という説が有力だとか。ちなみに、国号呼称としては室町時代から両方使用されていたということも分かっているようです。
●読み方が正しいのはどっち?
結論から言うと、"どちらが正しい"というのは明確になっていません。はがきや切手にNIPPONと印刷表示されていますが、国家的に読み方を決定したことはこれまで一度も無いそう。1934年(昭和9年)3月19日に臨時国語調査会で「国号呼称統一案」を発表しニッポンとすることが決議されましたが、政府で採択するまでには至らなかったよう。その後、戦前の帝国議会や戦後の国会を通じて何度か国号呼称の統一が問題になったそうですが、そのたびに政府側は「にわかにどちらかに決めることは困難である」ということを貫き通したのだとか。
●発音の優先などはある?
日本放送協会の放送用語並発音改善調査委員会(略称:用語調査委員会)では、1934年(昭和9年)に国号としては「ニッポン」を第一の読み方とし「ニホン」を第二の読み方とすることを暫定的に決めました。そして1951年(昭和26年)の同委員会で「正式国号として使用の場合はニッポン、その他はニホンと言ってもよい」という決定をしています。
●書籍・教科書で使われるのはどっち?
書籍を出版する際に出版社が著者にニッポンもしくはニホンのどちらを使用するか確認しているそうです。どちらを使っても問題はありませんが、第一国号呼称に合わせてニッポンを指定する作家が多いとのこと。教育においても基本的には教科書にはニッポンと表記するものの、「必ずどっちかでないといけない」という教育はしないそうです。
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「日本橋」は、東京ではニホンバシ、大阪ではニッポンバシと読みます。このように、地域や場所により読み方が異なる「日本」という言葉。さらに調べてみると、続々と興味深い情報が出てきそうです。
(取材・文=堀田将生)
(編集部注)
※掲載当初、文末の「日本橋」のくだりににおきまして、「東京ではニッポンバシ、大阪ではニホンバシ」と掲載していましたが、正しくは「東京ではニホンバシ、大阪ではニッポンバシ」でした。訂正のうえでお詫び申し上げます。
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