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そして、香取神宮の大饗祭といえばその特殊神饌である。これを拝観する為に来たのです。大饗祭で神々に捧げ饗応する為のお供えは他では見られない大変に興味深いものである。まず目に付くのは羽を広げた雌雄の水鳥。「鴨の羽盛り」と呼ばれ水辺から飛び立つ鴨そのままの姿で固定されている。こんもりとした赤いのは「鮭の鳥羽盛り」。鮭の切り身肉を大根の上に盛った塔。鴨や鮭の土台に見える肉はこの近郷の海で採れた鮫の肉である。その他鮭の胎子、鮒、膾、果物等が並ぶ。そして後ろに並ぶのは巻行器(まきほかい)という当地周辺に自生する真薦で作られた特殊な入れ物に炊いたお米を入れている。これらの神饌は全て香取神宮が鎮座する利根川水系、霞ヶ浦から太平洋の肥沃な土地で採れた水産物を中心にした山海の珍味であり、これによって集まった神々を饗応、即ちおもてなしするのである。
香取神宮の大饗祭は、天皇即位後の一世一代の神儀である大嘗祭で行われる「大饗の儀」、大嘗祭に参列する来賓を饗す饗応にも通ずるものとされ、このような特殊神饌が並ぶ盛大な神々への饗応が毎年行われるのは香取神宮のみであろう、とのことである。
そして祭りが終わったら神職関係者一同でこれら神饌のお下がりを頂くとのこと。究極の神人共食である。
香取神宮にて神への捧げもの「御贄」の一つの至極を拝した夜でありました。
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