2025年9月6日土曜日

鞍馬天狗 (能) - Wikipedia

鞍馬天狗 (能) - Wikipedia

鞍馬天狗 (能)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

鞍馬天狗」(くらまてんぐ)は、能の演目の一つ。五番目物、天狗物、太鼓物に分類される。牛若丸伝承に題を採った曲で、大天狗と牛若丸との間の少年愛的な仄かな愛情を、華やかな前場と、山中での兵法相伝を行う後場の対比の中に描く。

作者は「能本作者註文」が宮増とするが、宮増についてはその実像がはっきりとは解っておらず、不明な点も多い。「自家伝抄」は世阿弥作と記すが、考えにくい[1]

あらすじ

春の鞍馬山、僧(ワキ)が大勢の稚児を連れて花見にやってくるが、その席に怪しい山伏(前ジテ)が上がりこんでくる。山伏の不作法な振る舞いに、僧は憤慨する能力(アイ)をなだめつつも、花見は延期として稚児たちとともに去ってしまう。山伏は人々の心の狭さを嘆くが、しかし稚児の一人である牛若丸(子方)だけはその場に残っており、山伏と親しく語り合う。牛若丸の境遇に同情した山伏は、ともに桜の名所を巡り廻り、最後に自身が鞍馬山の大天狗であることを明かして姿を消す。

翌日、約束通り鉢巻・薙刀を携えて牛若丸が待ち受けていると、各地の天狗たちを引き連れた大天狗が登場する。牛若丸の自分を想う心のいじらしさに感じ入った大天狗は、黄石公張良の兵法奥義伝授の逸話を語り聞かせる。袖を取って別れを惜しむ牛若丸に、戦場での守護を約束して、大天狗は去る。

登場人物

  • 前ジテ:山伏 - 山伏出立
  • 後ジテ:天狗 - 天狗出立
  • 前子方:牛若丸 - 児袴出立
  • 後子方:牛若丸 - 鉢巻水衣大口出立
  • 子方(前):稚児(数人) - 児袴出立
  • ワキ(前):東谷の僧 - 大口僧出立、または着流僧出立
  • ワキヅレ(前):同伴の僧 - 大口僧出立、または着流僧出立
  • オモアイ(前):西谷の能力 - 能力出立
  • アドアイ:小天狗(数人) - 小天狗出立

典拠

源義経の幼少期を題材とした能であるが、他の同趣の能と同様『義経記』からの影響はほとんど見られない。一方で舞曲御伽草子説経節古浄瑠璃とは密接な関係があり、おそらくは能を含めこれらの作品が共通して題材とした「牛若の物語」と言うべきものが流布していたものと考えられる[2]。「鞍馬天狗」はそうした物語の影響下に作られたものだが、一方「花見」という場の設定、また大天狗と牛若丸の少年愛的な交情は作者による独創であろう[2]

解説

稚児が多数出る華やかな前場に疎外された山伏と牛若丸の寂しさを描きつつ、逆に闇夜の山中に豪快な大天狗を登場させ、背景の明と暗、内容の暗と明を対照的に配置した作風が特徴的である[3]。また、天狗という「外道の魔物」を、「強きを挫き弱きを助ける」役として好意的に描いた点にも独創性があり、『能本作者註文』が宮増作とする作品では最も優れた能の一つと目される[4]

室町期の演能記録としては、1465年(寛正6年)将軍院参の際に演じられたことが「親元日記」に見られ、前年の糺河原での勧進能でも音阿弥によって演じられたとする記録があるが(『異本糺河原勧進申楽』)、不明[2]

平易な親しみやすさから広く知られるようになったと見られ、『閑吟集』にその一節が採られるほか、三重県伊賀市島ヶ原村の雨乞踊「源氏踊」、同小里の雨乞踊歌「源氏踊」、また佐賀県宮野の小浮立「牛若丸」などの民間芸能にこの曲からの影響が見られる[1]

また登場時間も短く特に所作もない牛若丸以外の子方は、能役者の子息の初舞台としてしばしば演じられる[5]

小書

小書(特殊演出)に、五流共通の「白頭」、観世流の「白式」「素翔」「素働」、宝生流の「白頭 別習」、和泉流の「大勢」が存在する。「白頭」では後ジテが白頭(白髪の鬘)を着け、全体的に緩急のある演出となる。「別習」では、常の形では名前だけが出る大天狗配下の天狗たち数人(通常7人)が実際に舞台に出る。白頭別習は「稚児揃」とも呼ばれ、功化5年の勧進能では前場で子方9人が舞台に並んだ。

脚注

  1. ^ a b 石黒吉次郎「「鞍馬天狗」をめぐって」
  2. ^ a b c 『新潮日本古典集成 謡曲集』の伊藤正義による解説
  3. 横道萬里雄; 表章『岩波日本古典文学大系 謡曲集』下巻(岩波書店、1960年、ISBN 9784000600415)解説
  4. 竹本幹夫「能作者の宮増の作品と作風(上)」pp. 27-28
  5. 岩波講座 能・狂言VI

参考文献

関連項目

能・演目事典:鞍馬天狗:あらすじ・みどころ

能・演目事典:鞍馬天狗:あらすじ・みどころ

鞍馬天狗(くらまてんぐ)


『能之図(上)』より「能 鞍馬天狗」
国立能楽堂提供:『能之図(上)』より「能 鞍馬天狗」

あらすじ
春の京都、鞍馬山。ひとりの山伏が、花見の宴のあることを聞きつけ、見物に行きます。稚児を伴った鞍馬寺の僧たちが、花見の宴を楽しんでいると、その場に先の山伏が居合わせていたことがわかります。場違いな者の同席を嫌がった僧たちは、ひとりの稚児を残して去ります。

僧たちの狭量さを嘆く山伏に、その稚児が優しく声をかけてきました。華やかな稚児に恋心を抱いた山伏は、稚児が源義朝の子、沙那王[牛若丸]であると察します。ほかの稚児は皆、今を時めく平家一門で大事にされ、自分はないがしろにされているという牛若丸に、山伏は同情を禁じ得ません。近隣の花見の名所を見せるなどして、牛若丸を慰めます。その後、山伏は鞍馬山の大天狗であると正体を明かし、兵法を伝授するゆえ、驕る平家を滅ぼすよう勧め、再会を約束して、姿を消します。

大天狗のもと武芸に励む牛若丸は、師匠の許しがないからと、木の葉天狗との立ち合いを思い留まります。そこに大天狗が威厳に満ちた堂々たる姿を現します。大天狗は、牛若丸の態度を褒め、同じように師匠に誠心誠意仕え、兵法の奥義を伝授された、漢の張良(ちょうりょう)の故事を語り聞かせます。そして兵法の秘伝を残りなく伝えると、牛若丸に別れを告げます。袂に縋る牛若丸に、将来の平家一門との戦いで必ず力になろうと約束し、大天狗は、夕闇の鞍馬山を翔け、飛び去ります。

みどころ
源義経の幼少時代を題材にした物語です。花盛りの鞍馬山を背景に、威厳ある大天狗と華やかな牛若丸との師弟の絆を中心に、情趣に富んだ多彩な場面が展開されます。

前半では、大勢の可憐な稚児の登場あり、寺男の小舞あり、高僧のお高くとまった物言いありと、盛りだくさんの話を経て、大天狗の化身である武骨な山伏と、孤独な牛若丸との心の交流に至り、どこか詩情を誘う深山の、彩り深い雰囲気が醸し出されます。

後半には、大天狗のもと兵法を学ぶ牛若丸の、殊勝な心がけに焦点があてられます。牛若丸は師匠を大事にする、凛々しく素直な少年として描かれ、鞍馬の大天狗は、天狗たちの頭領とも目されるような、堂々たる威厳ある姿を現します。

さほど長くはありませんが、登場人物が多く、謡や所作も変化に富み、みどころに恵まれた作品です。


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歴史の定説を覆す!重要文化財になったユダヤ人埴輪の正体と千葉にある芝山古墳群の謎

『日本書紀』の天武11(681)年4月に《今後、男女ともみな髪を結い上げることとし、十二月三十日までにあげ終わるようにせよ》(前掲書『全現代語訳 日本書紀』)という勅が出されています。これはミズラ廃止令と解釈されます。

旧約聖書レビ記19:27では、
《あなたがたの頭のもみあげを剃り落としてはならない。ひげの両隅を損なってはならない。》
とあります。

もみあげとミズラは違うという意見もありますが類似性は否定できません。

角髪 - Wikipedia

角髪 - Wikipedia
「今後、男も女もみな髪を結いあげることとし、十二月三十日までにあげおわるようにせよ。ただし、髪を結いあげる日はまた勅で示すから、それを待つように」
天武天皇
日本書紀


…『日本書紀』の天武11(681)年4月に《今後、男女ともみな髪を結い上げることとし、十二月三十日までにあげ終わるようにせよ》(前掲書『全現代語訳 日本書紀』)という勅を出されています。これはミズラ廃止令と解釈されます。

参考:
旧約聖書レビ記
19:27
あなたがたの頭のもみあげを剃り落としてはならない。ひげの両隅を損なってはならない。

もみあげとミズラは違うという意見もあるが類似性は否定できない。


『日本書紀』の天武11(681)年4月に《今後、男女ともみな髪を結い上げることとし、十二月三十日までにあげ終わるようにせよ》(前掲書『全現代語訳 日本書紀』)という勅が出されています。これはミズラ廃止令と解釈されます。

旧約聖書レビ記19:27では、
《あなたがたの頭のもみあげを剃り落としてはならない。ひげの両隅を損なってはならない。》
とあります。

もみあげとミズラは違うという意見もありますが類似性は否定できません。

角髪

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(2016年1月)

角髪(みずら)は、日本の上代におけるの成人男子の髪の結い方[1]美豆良(みずら)、総角(あげまき)とも。平安時代以後の子供の髪型もこの名で呼ぶことがあるが[1]、本項では上代のものについて述べる。

古墳時代の男性埴輪などに見られる。分類として、「上げ角髪」と「下げ角髪(お下げ)」があり[2]一般人に認知度が高いのは前者であり、後者は貴人(身分の高い者)の髪型である(結い方の項目に記されているのも上げ角髪の結い方である)。[要出典]

結い方

髪全体を中央で二つに分け、耳の横でそれぞれ括って垂らす。そのまま輪にするか、輪の中心に余った髪を巻きつけて8の字型に作る物とがある。総角はその変形で耳の上辺りで角型の髻を二つ作ったもので、これは少女にも結われた。

髪の輪が二つの形のもののほうが古いらしく埴輪などに見られるものはこの形が多いが、奈良時代に入ると輪が一つの形のものが主流となったことが聖徳太子像などに見える。輪が一つのものにも2種あって、毛先を納めるものとそのまま垂らすものに分かれる。

神話における記述

上代では男性でも角髪にを挿していたことが『古事記』のイザナギの黄泉下り、スサノオ大蛇退治の物語に見られるほか、アマテラスとスサノオの誓約の場面では女神のアマテラスが角髪を結う呪術的な異性装を思わせるくだりが登場する。

日本書紀』では、髻と表記されている。

角髪の由来に関して

「みずら」という言葉は、「耳に連なる」の意で、髪の形状を表した言葉とする説が有名であるが、全ての研究者が支持している訳ではなく、「美面」の意であり、ミは美称であるとする考え(筑波大学教授・増田精一説)もある[3]。増田の考察によれば、みずらとは「いい面(つら)」の意ではないかとする。その論拠として増田は、お下げ遊牧民であるモンゴル人が、おさげをクク、あるいはケクといったが、これは「いい面」の意味で、後代、中近世に広まった丁髷が大陸南方文化に多いのに対し、角髪のようなお下げ文化は大陸の北方文化にみられることと関連するものとみている[4]

備考

  • 1983年3月に、茨城県武者塚1号墳(7世紀後半)から左側の角髪(長さ約10cm)がほぼ完全な状態で出土した。出土後1年ほどたってカビが生えたため、滅菌処理の後冷凍保存された。

脚注

  1. ^ a b 「角髪」 - 精選版 日本国語大辞典、小学館。
  2. 『女性はにわ その装いとしぐさ』 埼玉県立博物館 1998年 p.67.[要検証ノート]貴人の特徴である「下げ角髪」に対し、労働に適した髪型が「上げ角髪」としている。[要出典]
  3. 『新・古代史発掘 1983 - 87年新遺跡カタログ』 1988年 朝日新聞社 p.19より参考[要検証ノート]
  4. 『新・古代史発掘 1983 - 87年新遺跡カタログ』 p.19.[要検証ノート]

関連項目

2025年9月5日金曜日

10/4 現地ロケ公開収録《埼玉》出雲神話と冬至レイラインをめぐる歴史探訪イベント | Peatix

10/4 現地ロケ公開収録《埼玉》出雲神話と冬至レイラインをめぐる歴史探訪イベント | Peatix

10/4 現地ロケ公開収録《埼玉》出雲神話と冬至レイラインをめぐる歴史探訪イベント

(土) 8:15 日本、埼玉県さいたま市大宮区吉敷町4丁目 氷川参道 By シン・きー歴史沼チャンネル

【現地参加型・公開収録イベント📸】  
茂木誠 × きーの歴史沼チャンネルコラボ企画!  
埼玉に伝わる出雲神話とレイライン信仰を、実際に現地を巡りながら深掘りしていくYouTubeロケを、公開収録スタイルで行います。  

午前の部・午後の部の2部制で、それぞれ異なる歴史テーマを設定。通し参加もOK✨  

今回は  
🔹 出雲族の関東進出  
🔹 氷川三社を貫く"冬至のレイライン"  
という2大テーマを、現地の神社や遺跡をめぐりながら、茂木先生と一緒に深掘りしていきます!

📍 当日の訪問予定地  
【午前の部】  
・鷲宮神社(境内に粟嶋神社あり)
・玉敷神社
・さきたま古墳群
・前玉神社

【午後の部】  
・中氷川神社  
・女體神社  
・氷川神社(本社)  

🗓 開催日:2025年10月4日(土)  
🕐 午前の部:8:15〜12:00 / 午後の部:13:30〜16:30  
📍 集合・解散:大宮駅「西口2階デッキ」  

🚐 移動手段:ハイエース1台で全員移動(運転協力割引あり)  
🍱 昼休憩:大宮駅周辺で自由解散(弁当支給あり/演者スタッフ分)  
🎥 収録動画:YouTube動画全6本(うち2本はメンバー限定)

⛅ 雨天決行(カッパ・雨靴など各自でご用意ください)  
※参加者も映り込む場合があります。顔出しNGの方は事前にご相談ください。

🔷注意事項・本イベントはYouTubeの公開収録を兼ねた現地ロケ企画です
・映り込みに同意いただける方のみご参加可能です(同意フォームをご記入いただきます)
・昼食は自由行動・各自調達となります(大宮駅周辺に飲食店・コンビニ多数)
・現地集合・現地解散型のイベントです(大宮駅集合・解散予定)
・雨天決行(荒天時は一部ルートを調整する可能性あり)
・運転協力いただく方には、事前に免許確認・同意書提出をお願いします

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