2026年1月5日月曜日

freeassociations: 蹴鞠の名手はどんな人? 今村紫紅「鞠聖図」 | 気になる |イマカナ by 神奈川新聞

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蹴鞠の名手はどんな人? 今村紫紅「鞠聖図」 | 気になる |イマカナ by 神奈川新聞

気になる 横浜美術館 アート彩時記(2) 蹴鞠の名手はどんな人? 今村紫紅「鞠聖図」

 おおらかにほほ笑む品の良い殿方は、平安時代後期の身分の高い公卿(くぎょう)の1人、藤原成通(ふじわらのなりみち)。彼は多くの技芸に通じたみやびな人で、なかでも「鞠聖(きくせい)」とまで称された蹴鞠(けまり)の名手でした。「成通卿口伝(なりみちきょうくでん)日記」から、蹴鞠の妙味と彼の並々ならぬその執着振りがうかがえます。

今村紫紅「鞠聖図」1911(明治44)年、紙本着色、2曲屏風1隻、147.4×145.6センチ、横浜美術館蔵
今村紫紅「鞠聖図」1911(明治44)年、紙本着色、2曲屏風1隻、147.4×145.6センチ、横浜美術館蔵

 この絵は、その日記に記された、緊張した不思議な夜の場面を題材にしています。まりを奉じたうたげが引け、静寂のなかで成通が日記を書こうと墨をすっていると、神棚のまりが転がり落ちます。目を凝らすと、まりを持つ童が3人。顔は人で手足は猿。その額には「春陽花(しゅんようか)」「夏安林(かあんりん)」「秋園(しゅうえん)」と蹴鞠の掛け声に通じるともされる文字がありました。成通が厳しい声をかけると、「まりの精」と名乗って、蹴鞠での難しい技の成就を助けましょうと言ったというもの。

今村紫紅「潮見坂」1915(大正4)年、絹本着色、軸、112.5×42.0センチ、横浜美術館蔵。紫紅らしい構図の大胆さと色使いが見られる1作
今村紫紅「潮見坂」1915(大正4)年、絹本着色、軸、112.5×42.0センチ、横浜美術館蔵。紫紅らしい構図の大胆さと色使いが見られる1作

 いにしえの高貴な人々の肖像をまとめた書「前賢故実(ぜんけんこじつ)」は、明治期に歴史画のお手本とされていました。そこでの成通は、まりの精と出会ったこの場面で、美青年風の立ち姿で表されています。しかしこの絵の作者、今村紫紅(しこう)は、それにならった成通を描いていません。

 紫紅は、今から約140年前、現在の横浜市中区尾上町に生まれた日本画家。柔らかな筆致や大胆な色使い、またそれまでにない解釈で取り上げた歴史画をはじめ、新鮮味あふれる革新的な絵画で、画壇に大きな影響を与えました。満35歳の若さで世を去りましたが、国の重要文化財指定の絵が複数あるほどその画業は高く評価されています。横浜美術館は彼の作品を数多く収蔵しています。

 紫紅は、まりの精を猿そのものに描き、緊張した場面をほのぼのとしたユーモラスな対面としました。また、3匹ともを画面に描かないことで、2匹に続いてもう1匹が画面の外から歩みを進めて画面に入って来るように感じられます。まるで動画を切り取ったよう。見る者は、絵に動きと時間を込めたこの心憎い工夫で、楽しく絵に引き込まれます。この絵が、歴史上の人物の特有な解釈と描き方の工夫を示す紫紅の意欲作であると納得させられます。(横浜美術館・八柳 サエ)

「藤原成通」菊池容齋『前賢故実』巻之六下冊1868年所載、横浜美術館美術情報センター蔵書
「藤原成通」菊池容齋『前賢故実』巻之六下冊1868年所載、横浜美術館美術情報センター蔵書

学芸員みちくさ話

 「横浜市電にも乗っていた」と言うと、どれほどの老人かと仰天されます。一応横浜育ちのつもりですが、"一応"と断るのは、今村紫紅が育った現在の同市中区、港を囲む「横浜の中の横浜」ではない後ろめたさからでしょうか。

 昭和40年代、郊外に広がった住宅地。磯子から大船まで延びた京浜東北線。その青1色の列車の車窓からは、海を見晴るかすスポットがあって、やっぱり横浜、とうれしくなったものです。毎朝、そこを通過するときには、海の色でその日の天気を占う。遠くに迫った雲を映して白っぽく見えたらお天気は下り坂、深い青なら、今日は晴れるぞ、と。

 みなとみらい21地区、港に向かって建つ横浜美術館。勤め始めたころには、風向きによってよく潮の香りが漂ってきました。そんなときは、ペリー提督も、岡倉天心も、今村紫紅もこの香りを吸い込み、海と共に在る気持ち良さを感じたかもしれない、海が時代をつないでいるなと思いました。海と共に在ること、それもまた、横浜美術館の魅力です。(八柳)

2022年2月21日公開 | 2022年2月20日神奈川新聞掲載

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ファイル:Fujiwara Narimichi.png - Wikipedia


https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Fujiwara_Narimichi.png
解説
日本語: 藤原成通 前賢故実 巻第6 - 菊池容斎 (武保) 著 (雲水無尽庵 1868)。成通が蹴鞠の千日修行を成就した日の夜、夢に3匹の猿の姿をした鞠の精霊が現れ、その名前である夏安林(アリ)、春陽花(ヤウ)、桃園(オウ)が鞠を蹴る際の掛声になったと言われる。この3匹の猿は蹴鞠の守護神として大津の平野神社と京都市の白峯神宮に祭られている。
English: FUJIWARA no Narimichi (1097 - 1162) was a court noble who lived in the latter half of the Heian period. He was said to be an especially unprecedented expert of Kemari (ancient football game of the Imperial Court), who, in later Kemari literature, was called the 'saintly kicker.' In order to excel in kemari, Narimichi made an oath to practice kemari every day for 1000 days. In the night of the 1000th, three monkeys were in his dream. Their names, Ali, Yau and Oh, became Kakegoe(yells) when kicking a Kemari ball. They are regarded as guardian deities of Kemari.
日付
原典前賢故実 巻第6 (雲水無尽庵 1868)
作者菊池容斎 (武保)

鞠聖図 横浜美術館コレクション検索

鞠聖図 横浜美術館コレクション検索

きくせい ず 鞠聖図

鞠聖図 画像
作家名

イマムラ シコウ 今村 紫紅

作家英名
IMAMURA, Shiko 
生年
1880年
没年
1916年
制作年
1911年(明治44年) 
技法、材質、形状
紙本着色、二曲屏風一隻 
縦(高) × 横(幅) × 奥行(厚)
147.4 x 145.6 cm 
受入種別
購入 
分野名
日本画 
収蔵品番号
89-JP-002 

2026年1月4日日曜日

freeassociations: 蹴鞠をしている人が「アリアリ」「ヤア」等と、かけ声をかけているのを見た。かけ声には意味があるのか? | レファレンス協同データベース


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蹴鞠をしている人が「アリアリ」「ヤア」等と、かけ声をかけているのを見た。かけ声には意味があるのか? | レファレンス協同データベース

質問
(Question)
蹴鞠をしている人が「アリアリ」「ヤア」等と、かけ声をかけているのを見た。かけ声には意味があるのか?
回答
(Answer)
『日本の蹴鞠』(①)pp.68-69「請声(こいこえ)」の節によると、かけ声は基本的に「あり」「やあ」「おう」の三種類で、最初に鞠を蹴り始める時、鞠がゆっくり飛んで来た時、急に来た時、複数のかけ声が重なる場合等、状況に応じて使いわけることが書かれている。

蹴鞠保存会『蹴鞠』(②)p.6によると、鞠を蹴る時には「アリ」「ヤア」「オウ」と、かけ声をかけながら蹴る。「アリ」「ヤア」「オウ」は、それぞれ鞠の精「夏安林」「春楊花」「秋園」を指しており、その名を呼びながら、鞠が続くことを願って蹴る。かけ声は鞠の受け渡しの合図でもあることが書かれている。

『蹴鞠の研究:公家鞠の成立』(③)のp.24にも①と同様の記述があり、声をかけることは鞠の精の助けを求める意味を持ち、「鞠を乞(こ)ふ」とも言うことが書かれている。

前述の資料①のpp.89-94「蹴鞠の神様」の節には、蹴鞠の達人であった藤原成通(なりみち、1097-1162)の前に、「夏安林(げあんりん)」「春楊花(しゅんやうか)」「秋園(しゅうおん)」という三人の鞠の精が現れたことが記されている。鞠の精は、3~4歳くらいの子供で、顔は人、手と足と体は猿であったという。
回答プロセス
(Answering process)
当館の蔵書検索システムでキーワード「蹴鞠」で検索し、出てきた『日本の蹴鞠』(①)、『蹴鞠』(②)、『蹴鞠の研究:公家鞠の成立』(③)に、蹴鞠のかけ声に関する記述があるのを見つけた。
事前調査事項
(Preliminary research)
NDC
社会.家庭生活の習俗  (384)
参考資料
(Reference materials)
① 池修著.日本の蹴鞠.光村推古書院,2014. (当館請求記号:||384.8||I31||)
② 蹴鞠保存会編.蹴鞠.蹴鞠保存会,2009. (当館請求記号:K1||384.8||Ke34||)
③ 渡辺融,桑山浩然著.蹴鞠の研究:公家鞠の成立.東京大学出版会,1994. (当館請求記号:||384.8||W46||)
キーワード
(Keywords)
蹴鞠

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