2026年3月23日月曜日

ユダヤ人の歴史 中公新書


https://www.amazon.co.jp/ユダヤ人の歴史-古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで-中公新書-2839-鶴見-太郎/dp/4121028392

広く浅いのは良い。本書のようにハシディズムの祖であるイスラエル・ベン・エリエゼル(ベシュト)に触れた入門書は少ないだろう。エリエゼルはゴダールが『決別』の冒頭でショーレム経由で引用して話題になった。巻末のゼレンスキーやネタニヤフへの言及も興味深い。だが偏っているのは良くない。
例えば以下の記述。

《ドイツ人一般のなかでも、伝統社会が資本主義化のなかで失われていくことをよく思っていなかった者は、ユダヤ人の顕在化をその象徴としてもその原因としても、あるいは両者の区分けなく捉え、ユダヤ人を叩くようになった。  その背後には、ユダヤ人と経済を安易に結びつける発想があった。例えば、経済学者ヴェルナー・ゾンバルトが一九一一年に発表した『ユダヤ人と経済生活』という著作だ。同書は、ユダヤ教ではなくプロテスタンティズムにこそ近代資本主義の精神が見られるとするマックス・ヴェーバーの説に対抗して、ユダヤ人にこそ近代資本主義の源泉があると主張した。だがつまるところ、それは資本主義とユダヤ世界を同一視する、先のバウアーやマルクスらの主張の焼き直しにすぎなかった。》

こんなのはゾンバルトを読んでなくとも書ける。というか読んでないから書ける。
ゾンバルトによればユダヤ人の歴史的貢献は無記名証券、信用貨幣の発展に寄与したことにある。
マルクスによる産業資本主義の分析では見えないものをゾンバルトは見ている。

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ユダヤ人の歴史 中公新書

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