2026年3月25日水曜日

ネアンデルタール人の胎児でわかった「絶滅への深刻な一撃」、6万5000年前に人口が激減(ナショナル ジオグラフィック日本版) - Yahoo!ニュース

ネアンデルタール人の胎児でわかった「絶滅への深刻な一撃」、6万5000年前に人口が激減(ナショナル ジオグラフィック日本版) - Yahoo!ニュース

ネアンデルタール人の胎児でわかった「絶滅への深刻な一撃」、6万5000年前に人口が激減

 約5万5000年前に亡くなったネアンデルタール人の胎児のDNAを分析したところ、彼らが絶滅する数万年前に、遺伝的多様性を大きく失う深刻な人口の激減が起こっていたことが明らかになった。胎児が属していたのは約4万年前に絶滅した最後の系統ではなく、より古い系統だった。その希少なDNAのおかげで、古い系統の実態をより明確に把握できた。この論文は3月23日付けで学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に発表された。 ギャラリー:ネアンデルタール人の最後の日々 写真と画像18点 

 「ネアンデルタール人のごく幼い子どもの骨は、出生前であれ出生後であれ、非常にめずらしいものです」と、ポルトガル、アルガルベ大学の考古学者および地球科学者で、論文の共著者の1人であるアルビーゼ・バルビエーリ氏は言う。

「これまでの例はおそらく、フランスで研究されたものが1件あるのみです」

  研究チームは今回、胎児の「ミトコンドリアDNA(細胞内のミトコンドリアにあり常に母親から受け継がれるDNA)」に加えて、ベルギー、フランス、ドイツ、セルビアなどヨーロッパ各地で見つかったネアンデルタール人のミトコンドリアDNAの配列をさらに9例決定した。新たに得られたこの10例を既知の49例とあわせて分析し、胎児に代表されるより初期の系統と最後の系統の違いを明らかにできた。

  この発見により、ネアンデルタール人が約6万5000年前に「遺伝的ボトルネック」、すなわち、遺伝的多様性の大半を消し去る人口の激減に見舞われていたと推定できた。  今回の研究は、この遺伝的ボトルネックが発生した時期について、これまでで最も精度の高い推定値を提示している。 

  人口が激減したのは、ヨーロッパに広がった氷床によって、比較的氷の少ないフランス南西部へとネアンデルタール人が押し戻された時期ではないかと科学者らは考えている。こうした場所を科学者らは「氷期逃避地(glacial refugium)」と呼んでいる。

  その後に氷床が後退し、再びヨーロッパに広がって人口が回復したネアンデルタール人が遺伝的に非常に似通っていたことも今回の研究は示唆している。そして、ネアンデルタール人は4万5000年から4万2000年前にかけて最後の人口激減を経験し、まもなく絶滅した(ただし一部はホモ・サピエンスと交雑した)。  彼らの最終的な消滅は、狩猟や採集の領域を縮小させた気候変動が原因だったのではないかと、研究者らは考えている。 

  米プリンストン大学の遺伝学者ジョシュア・エイキー氏は、後期ネアンデルタール人が遺伝的に互いによく似ていたと思われる点に注目している。 「人口規模の急激な縮小が示唆しているのは、最終的に姿を消す以前から、ネアンデルタール人がすでに人口動態への圧力を受けていたということです」と、エイキー氏は述べている。


「きわめて興味深い」発見

絶滅の謎を解くきわめて重要な手がかりに

文=Tom Metcalfe/訳=北村京子

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