北村皆雄(きたむら みなお)
〈衣〉の始源神話
映画『倭文(しづり) 旅するカジの木』から
【倭文と荒妙】
私たちの調べでは、平安期に定められた「延喜式(えんぎしき)」以降は、「荒妙」は「麻」、「和妙」は「絹」とされたが、時代をさらに古代にまで遡れば、荒々しい樹皮繊維 で織った「穀布(かじふ)」を「荒妙」にし、草の繊維であり樹皮より柔らかい「麻布」を「和妙(にぎたへ)」として織ったと考えられる。(岡村吉右衛門『日本原始織物の研究』、武部善人『日本木綿史の研究』、『賀茂馬淵全集7巻』参照)
しかし平安期に柔らかい「絹」が浮上してくると「和妙」の座を占め、和妙だった「麻」が「荒妙」となり、荒妙だった「穀」がはずれたのである。
『倭文(しづり) 旅するカジの木』オフィシャルガイドブック(2025) 27頁より
私たちの調べでは、平安期に定められた「延喜式(えんぎしき)」以
降は、「荒妙」は「麻」、「和妙」は「絹」とされたが、時代
をさらに古代にまで遡れば、荒々しい樹皮繊維で織った
「穀布(かじふ)」を「荒妙」にし、草の繊維であり樹皮より柔らか
い「麻布」を「和妙(にぎたへ)」として織ったと考えられる。(岡村吉
右衛門『日本原始織物の研究』、武部善人『日本木綿史
の研究』、『賀茂馬淵全集7巻』参照)
しかし平安期に柔らかい「絹」が浮上してくると「和
妙」の座を占め、和妙だった「麻」が「荒妙」となり、荒妙
だった「穀」がはずれたのである。
大正天皇の時、しばらく断絶していた「荒妙」復活の
〈衣〉の始源神話
監督
北村皆雄
きたむら みなお
ドキュメンタリー映画監督・映像民俗学/人類学
rating
1942年長野県生まれ。早稲田大学第一文学部演劇専修を1965年に卒業後、記録映画やテレ
ビドキュメンタリーの監督となる。 1964年 「映像芸術の会」に参加し機関誌 「映像芸術」 の編集委
員を務める。 1978年に映画作家の野田真吉、 宮田登(民俗学者)、 野口武徳(社会人類学者)
らと日本映像民俗学の会を創設。 1981年に映像制作会社ヴィジュアルフォークロアを設立し、
日本とアジアで数多くのテレビ番組を制作する。 エベレストには3回遠征、1988年には山頂から
の史上初のTV生放送に参加、 世界一危険とされたアイスフォール上 (6200m)から中継した。 ヒ
マラヤ、チベットなど秘境での大型企画を数多く実現した冒険家としての顔もあわせ持つ。 諏訪
その古代史の探究から始まった日本文化の古層へのアプローチは多方面にわたり、映像と文筆に
よって独自の 「映像民俗学」 を開拓してきた。 神の島と呼ばれる沖縄久高島の記録を1966年
以来続けており、 久高映画の集大成が待たれる。
映画『倭文(しづり) 旅するカジの木』から
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