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2025年6月5日木曜日

トビト書 第五章 - Wikisource

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トビト書 第五章

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  • 1 その時ときトビア答こたへて曰いふ『父ちゝよ、汝なんぢの命めいぜしことは、何なににてもすべてこれを行おこなはん。
    2 されど我われこの人ひとを知しらざるに、如何いかにしてその金子きんすを受うけ取とり得えんや。』
    3 トビト彼かれに證書しようしよを與あたへて曰いふ『誰たれか汝なんぢと共ともに行ゆくべき人ひとを探さがせ。我われ生いくる間あひだは彼かれに報酬むくいを與あたへん。されば行ゆきてその金子きんすを受うけ取とるべし。』
    4 彼かれ出いでゆきて人ひとを探さがしたるに、御使みつかひラフアエルを見出みいだせり。
    5 されどトビアこれを知しらずして彼かれにいふ『われ汝なんぢと共ともにメデアのラゲスまで行ゆくを得うべきか、汝なんぢその所ところをよく知しるか。』
    6 御使みつかひ彼かれにいふ『われ汝なんぢと共ともに往ゆかん、われよくその道みちを知しる。われ我等われらの兄弟きやうだいガバエルと共ともに宿しゆくしたることもあり。』
    7 トビア彼かれにいふ『我われを待まて、我われわが父ちゝにこの事ことを告つげん。』

    8 ラフアエル彼かれにいふ『往ゆけ、遲おくるな。』彼かれ入いりて父ちゝにいふ『視みよ、われ、我われと共ともに行ゆく人ひとを見出みいだせり。』父ちゝいふ『彼かれをわが許もとに呼よび來きたれ、われ彼かれの何族なにぞくの者ものなるか、又また彼かれは汝なんぢと共ともに行ゆくに足たる信しんずべき人ひとなるかを見みん。』
    9 トビア彼かれを呼よべば、彼かれ入いりて互たがひに挨拶あいさつす。
    10 トビト彼かれにいふ『兄弟きやうだいよ、汝なんぢは何族なにぞく、何家なにけの人ひとなるか、我われに告つげよ。』
    11 かれトビトにいふ『汝なんぢの求もとむるは、族やからなるか、家系いへすぢなるか。若もしくは汝なんぢの子こと共ともに往ゆくべき雇人やとひびとなるか。』トビト彼かれにいふ『兄弟きやうだいよ、われ汝なんぢの生うまれと汝なんぢの名なとを知しりたし。』
    12 彼かれいふ『我われは、なんぢの兄弟きやうだいたちのうちなる大だいアナニヤの子こ、アザリヤなり。』
    13 トビト彼かれにいふ『よくこそ來きつれ、兄弟きやうだいよ。われ汝なんぢの族やからと汝なんぢの家系いへすぢとを尋たづねたればとて怒いかるな。汝なんぢは優すぐれたる善よき家系いへすぢより出いでたる兄弟きやうだいなり。われは大だいセメヤの子こアナニヤとヨナタンとを知しる。我われら共ともに禮拜れいはいのためにエルサレムに往ゆきて、初子うひご、及およびわれらの收穫かりいれの十分ぶんの一を供そなへたることあり。彼等かれらは我われらの兄弟きやうだいたちの過誤あやまちに迷まよひ行ゆかざりき。兄弟きやうだいよ、汝なんぢは善よき家柄いへがらより出いでたり。
    14 されどわれ汝なんぢに幾許いくばくの賃銀ちんぎんを與あたふべきか、我われに告つげよ。一日にちに一ドラクマ及およびわが子こと同おなじく日用にちようのものを與あたへんか。
    15 汝なんぢもし健全すこやかにて歸かへらば汝なんぢの賃銀ちんぎんに幾いくばくかの割增わりましを加くはへん。』
    16 かくて彼かれら同意どういせり。その時ときトビト、トビアにいひぬ『旅たびの準備そなへをせよ。往ゆきて恙つゝがなく歸かへり來きたれ』と。その子こ旅たびに必要ひつえうなるものを備そなへし時とき、父ちゝ彼かれにいひけるは『この人ひとと共ともに往ゆけ、願ねがはくは、天てんに在います神かみ、汝なんぢらの旅路たびぢを祝しゆくし、主しゆの御使みつかひ汝等なんぢらに伴ともなはんことを』と。ここに於おいて彼かれら二人ふたり旅立たびだち、若わかものの犬いぬも彼かれらと共ともに往ゆけり。

    17 然しかるにその母はゝアンナ泣なきてトビトにいふ『いかなれば汝なんぢ我等われらの子こを送おくり出いだせしか。彼かれは我等われらの前まへに、入はいるにも出いづるにも、我われらの手ての杖つゑならずや。
    18 銀かねを銀かねに加くはへんとて貪むさぼるな。我等われらの子このために安全あんぜんを期きすべきなり。
    19 主しゆより我等われらの生活くらしの爲ために與あたへられたるもの、我等われらのために允みち足たれり。』
    20 トビト彼かれにいふ『姉妹しまいよ、心こゝろを惑まどはすな。かれ健全すこやかにて歸かへらん。汝なんぢの目め再ふたゝび彼かれを見みるべし。
    21 善よき御使みつかひ彼かれとともに往ゆき、彼かれの旅路たびぢ祝しゆくせらるべければ、彼かれ健全すこやかにて再ふたたび歸かへらん。』
    22 かくてアンナ泣なくことを止やめたり。

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